2022.8.10高齢者の生命を守る意識を
先月26日、本市では1日当たりの感染者数では過去最多となる37人が、新型コロナウイルスに感染していたことが発表された。先月21日以降、ほぼ連日20人超えの感染者が確認され、収束に向かうめどは一向に見えない。
このような状況の中、政府は先月29日、オミクロン株の派生型BA・5の感染急拡大を抑えるためとして、新たに都道府県が自主判断で発信できる「BA・5対策強化宣言」を設けると発表した。第6波までの緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの感染拡大防止策と比較すると、かなりの消極的な策だ。コロナ禍の3年間と円安、ウクライナ情勢による石油や小麦、その他の原材料の高騰などから、経済維持への苦肉の策とも言えよう。
「BA・5対策強化宣言」は、飲食店に十分な換気などを要請するだけで時短営業は求めず、その代わりに高齢者ら重症化する可能性のある人に、感染リスクの高い場所への外出自粛を要請する。行動制限するものではなく、注意喚起にとどめるという。高齢者の自主行動に頼った対策だ。
強化宣言は、病床使用率がおおむね50㌫超になった場合、各都道府県が出す仕組みになる。本県では、先月末の時点での病床使用率は約48㌫(先月31日公表分)。本市の場合、1日公表分で22・7㌫と県全体の状況から見れば、まずは一安心といったところではある。
しかし、自宅療養者数を含めれば安心できる数字とは言えない。先月29日、厚労省の発表によれば、新型コロナによる自宅療養者数は全国で100万人を超えた。濃厚接触者を含めればさらに多くの人が自宅待機をしている。本市では、1日までに261人が療養中となっている。
さらに気になるデータもある。厚労省は、2021年の平均寿命が10年ぶりに縮んだと発表した。男性が前年より0・09歳短い81・47歳、女性が0・14歳短い87・57歳。コロナによる死亡者の増加が影響したという。
現在、政府も市も、感染拡大防止策は皆無といっても過言ではない。本市など離島の人口率は高齢者が高い。新型コロナによる命の危険は高齢者ほど高くなる傾向だ。強化宣言だけで命は守れるのか。体力的な弱者を守るため、各自の拡大防止意識も必要ではないか。