2020.4.06迅速な決断と行動で救済を

 新型コロナウイルス感染により島内各産業は逼迫し、刻一刻と深刻さを増しているように感じられる。このままの状況が続けば必ず過去の借り入れの返済の滞りや、最悪の場合には廃業せざるを得ない事業者が現れてくるのではないか。この困難は迅速な政治力と市民力の結集で乗り越えねばならない。

 市商工会が実施したアンケートの回答には「先行きが見えない」「廃業も考えねば」「社会保障関連の支払いが厳しく、法人から個人事業に変えることも考えている」「緊急融資の話もあるが、返済ができるのかわからない」などがある。このアンケートは先月17日付であり、それから約2週間が過ぎている。状況はさらに深刻化してはいまいか。

 これも前号で記したが、九州郵船はジェットフォイルとフェリーの島外者利用料金を1日から値上げした。本市の主要経済で観光は筆頭と言っても過言ではない。交通費が引き上げられた観光地に人は喜んで訪れるだろうか。コロナ感染の影響と運賃値上げが重なり、二の足を踏むことは容易に推測できる。ことわざに「損して得取れ」とある。一時的には損をしてでも、長い目で見て将来的に利益を生むことが考えられなかったのか。

 さらに、東京事務所開所は、東京都が最大級の感染防止を呼びかける中、予定通り遂行している。何がなんでも東京進出の考えが先行してはいまいか。延期の議論は起きなかったのか。この時期に職員異動と開所は適切だったのか。開所後はさまざまな経費が発生するはずだが、この時期に営業活動はできるのか。

 数日後には次期市長選と市議補選の選挙に向けた動きが本格化する。全国的なコロナ感染の拡大で、徐々に影響はみられたが、先月14日の島内感染者発生により、ほとんどのイベントや集会などは自粛、あるいは中止や延期となった。このような中で、市民は本当に理解と納得の上での一票は投じれるのか。先月上旬からコロナ感染にかこつけたデマばかりが飛び交い、肝心の政策を論じることが抜け落ちているように思えてならない。

 現在、本市は未曾有の経済危機に落ち入っている。この状況はいつ終息を迎えるのかさえわからない。冒頭にも述べたが、政治力と市民力が結束せねば乗り越えることは困難だ。苦境に陥っている市民や事業者の生活を守ることが、現在政治がなすべき筆頭項目だ。政策を記したチラシに現職の白川博一氏は「産業振興に全力、未来へ必死」と掲げ、新人の森俊介氏は会報5号で「みんなで安心と希望」を掲げる。当選の暁には、実践してもらわねば絵に描いた餅でしかない。(大野英治)