2020.4.06新型コロナウイルス感染で予想以上の経済ダメージ

 市は、全国的に広がる新型コロナウイルス感染による本市への経済的な影響の把握と対策を協議するため、壱岐の島ホールの大会議室で先月30日、同月15日開催に続き2回目となる緊急経済対策会議を開いた。白川博一市長や山本啓介県議会議員、市議会議員ら5人、壱岐振興局や壱岐保健所など行政関係者をはじめ、旅館や民宿、酒造などの各組合、農業漁協組合や商工会など市内経済に関係する代表者らが出席し、意見を交わした。白川市長は「本市で感染者が発生したことでイメージダウンとなり、大きなダメージを受けた。市内各事業者のその後の状況を聞き、市としてどのような対策ができるのかを考えていきたい」と述べた。

 

 新型コロナウイルス感染拡大による現在の状況は、市観光連盟によると3月から6月までの宿泊キャンセル数は1万1137泊、地元の宴会客数は5119人。九州郵船とORCの乗客キャンセルは前年比で約40㌫減。市内貸し切りバスは前年比90㌫減といずれも乗客数は前年比から大幅減となっている。また、酒造組合の3月分の出荷数は前年比30㌫減となっていたことがわかった。

 農業関係では、消費の低迷により野菜類に影響が起き、畜産は子牛などの取り引き価格で低迷を招いている。漁業関係は、魚価が10~35㌫の安値が続いている。商工業は影響が大きく、前年度比で64㌫減となり、全ての産業で大きなダメージを受けていることがわかった。

 九州郵船は、3月1日から25日までの前年同月比による乗客実績を公表した。壱岐-博多間フェリーは46・3㌫減、同間ジェットフォイルは38・6㌫減、印通寺-唐津間は46・2㌫減、全航路で39・2㌫減、売り上げ全体では44・7㌫減の約8200万円減収となった。このままの推移の場合、3月末時点で約1億400万円の減収見込みになるようだ。

 また、九州郵船は先月24日に決まった4月末までの芦辺-博多間の増便延期は、5月末まで延長することを報告した。さらに、5月7日から5月末までジェットフォイルのドックダイヤにより1隻体制になるため、厳原港発午前6時45分発芦辺港経由博多港行き、博多港午後4時55分発芦辺港経由厳原港行きが減便となる。また、現在の状況が続くようであれば、1か月ごとに減便延長が検討される。

 

事業関係者の意見や要望

▽タクシー協会の立石新会長「1月は例年通りだった利用状況が、2月中旬から急に落ち始めた。3月には宿泊キャンセルなどの影響やイベントの自粛などから前年同月比約40㌫減となった。このまま4月を過ぎ5月になるまでに、人件費や納税などの支払いも厳しくなり、危機的な状況と言える」。

▽JA壱岐市の川﨑裕司代表理事組合長「畜産での子牛市などで大幅な価格の低下が予想される。経営継続のために融資をしなければならない農家もある」。

▽壱岐旅館組合の吉田繁組合長「先月18日までの前年同月比実績で、宿泊は約59㌫減となり、宴会などの地元利用は81㌫減になる。4月以降の予約では、東京や大阪など大都市部の感染拡大などの影響で、すでに71㌫減が予想され、地元利用客も55㌫減となる。この状況が長期化した場合、この先も耐えられるのかわからない。雇用が多い宿は給料支払いも厳しくなるので、事業継続のための補助制度があればいいが」。

▽壱岐酒類販売協同組合の三木圓理事長「島外資本による大型店舗の島内進出の影響に加え、新型コロナでさらに影響は大きくなった。現在、市内にある約70店の酒屋が先々では10店ほどに減る可能性も考えられるほど、売り上げの推移は落ちている。本市に見合う融資制度の要請を県や国にしてもらいたい」。

▽市商工会の吉田寛会長「市内の店は大打撃を受けている。観光や飲食店に対しての新たな商品券や、宴会促進券の発行などの検討を。また、国では高速道路無料化の案もあり、実現時には同様に航路運賃低廉化を行い来島者増への促進を」。

▽壱岐酒造協同組合の伊豆平理事長「2月までは例年並みだったが、3月からは新型コロナ感染の拡大や不要不急の外出自粛が影響し、売り上げが30㌫減となっている。4月以降は50㌫を割るのではないかと懸念する。従業員の保証制度の確立や給料の保証制度などを要望したい。また、運送費の負担を減らすために運賃の助成の拡大を」。

 白川市長は自粛による消費や経済の落ち込みから、「現在、市関連の行事やイベントなどは自粛をしているが、4月以降は『密閉、密集、密接』を避け、必要な会議などは開催するよう考えている」と述べた。