2021.9.22現場の声を受け止める器を
市議会一般質問の14日、山口欽秀議員は、当紙8月6日掲載の記事「教育現場から疑問の声」を取り上げ、小中学校で進められる問題解決的学習のあり方と、教育長による現場教師への威圧的行為について質問した。
山口議員は「新聞記事にある現場教師の投書を読み、よほどの事態が起きていると思われる。事実ならば問題の解決をせねばならない」とし、「教育長は記事の内容をどのように受け止めたのか。組織で話し合いや、今後の取り組みなどの見解を聞きたい」と質した。
質問に対して、久保田良和教育長の回答を一部抜粋する。「同記事は読んだ。しかし、投書人が教師なのか明確ではない。議員は現場教師からの投書と言うが、議員と私とでは投書内容の認識が違い、事実とは違った印象の記事だ」と、概ねそのように述べている。
久保田教育長は、問題解決的学習についても答えた。「本市では数十年前から進めている学習方式で、県としても約30年前から取り組んでいる。投書では『壱岐市のみであり、全国はおろか、県下では一切行われていない』とあるが、間違いだ。現場教師の認識の投書とは思えない。議員は教師と言うが、果たしてそうだろうかとの疑問がある」と述べた。
また、罵倒など威圧的行為の指摘については「人間性による指摘は考えるべき部分ではある。しかし、事実と認め難い内容を記事にしている。議会では事実に基づいた議論をしてもらいたい」と反論した。山口議員は「市教委と教師のつながりがうまくいっていない。風通しの良い教育行政のシステムが必要」と言葉を締め括った。山口議員と久保田教育長の関連質疑はここまでだ。
教師の投書を受け、掲載した記者はこの問題の当事者でもあるため、教育長の発言に反論する。教育長は「教師の投書か明確ではない。内容から教師とは思えない」と言う。しかし、思惑に反し、残念ながら現役の教師からの投書で、8月6日以降、掲載した投書も現役教師によるものだ。ただし、個人特定を避けるため、当紙判断で匿名としている。念を押すが、投稿した教師の立場を守るため、いかなる場合も投書人の名前は公表しない。
学習方式については、9月3日号の投書で「文科省の学習指導要項の『問題解決的学習』と、本市の方式は違う。市教委の解釈で創り出したもの」とあり、現場教員からは不評だとある。根拠もなく教育長は「投書は教師ではない」というが、これは教育長の認識の間違いだ。学習方式も教師と教育長では認識も考え方も違う。
しかし、もっと考えねばならない問題がある。現場から問題や指摘が寄せられれば、組織トップは真偽を問うとともに、その声を受け止めねばならない。「なぜなのか。何が問題なのか。どうすべきなのか」と考え、反省すべき点は反省する。「これは教師ではない」など切って捨てれば何も解決はしない。トップとしての器が問われる。反論は他にもあるが、紙面枠では到底足りない。