2019.2.12市議会審議は何のためか
市が行う事業に、公式の理由説明がないまま遅れが生じているものがある。時期的にも年度の変わり目を目前に控えていることから、動向を注視していると気がつく。
まず芦辺中の新校舎建設だ。現在の旧那賀中跡地に移転地が決まるまでは紆余曲折あり、市民や保護者を巻き込んでの議論が展開された。この時の議論の焦点は、生徒らの学び舎の安全性についてだった。当初の芦辺町ふれあい広場周辺は、県の調査により土砂災害危険区域の指定を受けた。この事実から保護者らは子どもの安全を考え、適切な予定地ではないと否を訴えた。またこの議論の最中から建設用地選定にかけて、市や教育委員会は「一刻も早く子供たちに、安全に学べる新しい環境を用意していかねば」と新校舎建設に前向きな考えを示し続けた。
結果として建設予定地は変更され、市議会でも決議、そして平成31年3月末には新校舎完成を迎え、市議会の場で教育長が述べていた「新年度から新たな校舎で」を目標に進めていた。しかし現在の進捗状況を見れば、到底新年度の始まりに間に合わないことは明白だ。さらに芦辺中の新校舎移転と共に検討されるべき、スクールバス運行の検討と見直しも棚上げされた状況だ。
スクールバス運行の見直しは、ある市民が島内全域の運行状況を自らの足で回って調べ上げ、市議会に陳情や市教委に話を持ちかけるなどして、改善を要求してきた。生徒らの通学における不平等を改善したいとの思いからの行動であった。しかし教育長は「保護者から見直しを求める声はなく、学校側からもない」として受け入れられていない。ただその中で、芦辺中移転の時に見直しの可能性は残された(発言では芦辺中通学のみの見直し)。
また何度も当紙で取り上げている市ケーブルテレビの業務移行は、今更説明するまでもないほどの混乱で、新年度に向けた道筋は見えていない。
さらに言えば、葬祭場の建設工事についても数度の入札が不落という結果になっている。入札と予定価格の差が理由であろうが、建築設計の見直しをせねばならないのかもしれない。このまま不落のまま年度を跨いでしまうのだろうか。
これらさまざまな事業は、市議会で審議を経て決議を受けている。容易な変更が可能ならば、何のための市議会審議なのだろうか。(大野英治)