2019.2.12芦辺中校舎建設が大幅な遅れ

「生徒のため新校舎を早急に」の声も虚しく

 

 新学期が始まる4月から、新たな校舎が予定されていた芦辺中校舎建設が大幅な遅れとなって、校区の生徒や保護者らに落胆の声があがっている。予定では平成29年度中に設計を終え、30年度中までの完成を目指していた。しかし現在の工事の様子を見た保護者らは「間に合うのか。進捗状況はどうなっているのか」と不安そうに見守っている。市教育委員会は、「工事の人員不足などの理由で遅れが生じた。完成は7月末にずれ込む予定」と説明した。

 

 芦辺中校舎の改築と改修工事の進捗状況について、市民から「道路沿いから見える工事の様子では、まるで進んでいないように思えるが。どうなっているのか」と当紙にも問い合わせが増えていた。

 当初の予定では、今年3月末までの工期だった。しかし建設現場を見た市民は「昨年10月頃から工事が遅れてきているのではないかと思っていた」と話した。2月上旬に現地を確認したところ、建物自体の工事は大幅な遅れで、3月末までの残り2ヶ月で完成するのか疑問が残った。

 ある市民は「芦辺中の新校舎については、用地選定の件など市民を巻き込んでの混乱を経てここまできた。ようやく新校舎のめどがつき、生徒や保護者も新校舎で新たな学び舎をと思っていたのだが。教育長も『生徒のため、早急に新校舎移転をする』と話していた。いったいどうなっているのか」と首を傾げた。

 1級建築士の専門家は「おそらく現在の建築状況は、3ヶ月から半年の工期遅れになるのではないか。設計による資材調達の問題か、人員や重機の不足など考えられる。いずれにしても予定工期までに終わるはずはない」と分析した。

 現在、芦辺中は統廃合により旧田河中校舎を利用しているが、耐震等の関係から早期の移転が検討されていた。当初は芦辺町ふれあい広場周辺を新たな校舎建設予定としたが、土砂災害への懸念から住民らによる建設地見直し要求を受け、現在の予定地となる旧那賀中跡地に決まった。

 市は平成30年度末(平成31年3月31日)の完成を目指して工程を進めていた。理由は、合併した市町村が公共施設の整備などに充てる合併特例債の活用により、事業費の95㌫の充当と国が返済の70㌫を負担する、市町村の建設事業に有利な時期だったからだ。

 しかし昨年4月、合併特例債の発行期限を再延長する改正特例法が参院本会議で全会一致で可決、成立した。発行期限が5年間延び、東日本大震災で被災した市町村は合併後25年間、それ以外の市町村は20年間となった。本市も対象となり、さらに5年の延長となったことから、平成30年度中までの完成制限が緩和された。しかし特例債活用に関わらず、市や市教委は「生徒に安全で学び良い環境を早急に」と度々述べており、保護者の意向にも同様の声が聞かれていた。

 建設の遅れに対し教育次長は「昨年の豪雨被害復旧で、作業員不足等が理由。7月末には完成する」と述べた。

 また、当初の完成工期が今年度中までの予定だったものを、今年7月末まで延長するため、市議会3月会議で繰越明許費の承認を求め、議案提出するという。