2022.11.01密室の非公開会議に苦言
18日に開かれた市こども子育て会議が、傍聴を希望した市民やマスコミの入室を禁じ、またしても非公開だった。開会直前に委員長が各委員に傍聴の是非を図り、1人の委員が発した「自由な発言ができない」を委員会全員の判断としての非公開だった。当初は委員全員に決を求めての判断だと知らされていたが、他委員の意見はどうだったのか。委員による多数決も経ていない。
会議室外で傍聴の委員会判断を聞くために待機していた我々に、市こども家庭課の課長は「委員長の判断によるもの」として「自由な発言ができないと言われている」と返答した。「自由な発言ができない」が理由だとは…。非公開でなければ発言できないという委員は、もはや委員をすべきではない。会議の根底が崩壊しかねない。
記者は担当課長に対して「その理由がまかり通るのであれば、今回の会議に限らず、行政や他委員会が行うすべての会議で『自由な発言ができない』を理由に非公開にすることが可能ではないか」と意見した。担当課長は「その通りのこともあり得る」と返した。この返答がどれだけ大きな問題発言なのか、委員はおろか、担当部署や担当課長も理解をしているのか。担当課長は「委員長の判断としか言いようがない」と逃げ言葉に終始したが、同課は同会議の事務局でもある。まったく無関係な立ち位置ではない。
同会議は市が定めた条例にも原則公開と定められる。個人情報に触れるものなどを例外として、広く一般市民にも公開が原則のはずだ。それを「自由な発言ができない」を理由に非公開とする道理が通るのであれば、市議会、各協議会、各委員会などすべてに該当されるとは思わないのか。このようなあいまいな理由で非公開とされても、誰が納得しようか。
思い返せば、8月末に開かれた同会議も「個人情報に触れる」などを理由に非公開だった。この時、傍聴を申し入れた武原由里子議員は「市の条例に反する行為」と憤った。その後、どうなったか。住民への説明は反故とされ、郷ノ浦町柳田地区で建設予定の認定こども園を運営する社会福祉法人北串会(雲仙市)は保護者のみを対象とした入所説明会を発表し、建設計画を進めた。これに不満を抱いた市民は団体を発足し、同園建設予定地反対の署名活動が勃発した。
ものごとは隠せば隠すほど怪しまれ疑われる。密室にすればするほど探られる。どんなに隠蔽しようとしても情報は必ず漏れる。何が何でも非公開に固執せず、何もやましいことがないならば公開すべきと思わないか。たとえ一部から批判を浴びようが、自信ある行為と発言ならば堂々としていれば良い。「自由な発言ができない」が頭をよぎるなど「やましいことがある」という現れではないか。隠蔽はどれだけ正しい話し合いであろうが疑念を生む。
取材を重ねた記者の立場から見た行政、各委員会や協議会の傾向は「密室の話し合いを好み、なるべく市民には知らせない、知られたくない。トップで物事を決めたがる」。しかし、隠せば必ず探られ、いずれはばれる。正当な理由なき非公開会議は即刻やめるべきだ。