2023.3.28国への虚偽報告の可能性あり
社会福祉法人北串会の認定こども園からの事業撤退に関して、市議会予算特別委員会で質疑が交わされた。この問題は、これまでにもさまざまな疑問点があり、現時点でも何一つ解決していない。今回の質疑は、その一端が審議された。
植村圭司議員は、同園工事に伴う次年度への予算の繰り越しを問い、工事着工について市の間違いであることを指摘した。着工の意味を簡単に言うと「敷地内の杭打ちや地盤改良、山留めなど」に着手したことを言う。
しかし、市は「着工する予定」も該当すると言うが素人判断なのか。この理屈が通るならば、何も工事をせずとも着工予定と言えば、すべての繰り越し予算は通ることになる。こんな考えを知らされ、市内の工事事業者はどう思うのか。
今回の事業撤退で「予算が動かなかったから良かった」ではない。質疑の通りならば、市は、あるいは事業者は県や国を欺いたことになる。もっと言えば、国に対しての虚偽報告、交付金の不正受給になりかねない。
昨年12月、市は市民に対し生活保護費の不正受給を問題とし、訴訟が起きた。この時、白川市長は「私の立場は、法律に定められたことを守ること」と答弁している。そして、今回の予算繰り越しの国への報告は、事業費の支出負担行為の虚偽手続きになり得る。建築基準法への不正行為とも受け取れる。市と市長が宣言した「法律を守る」の言葉は何だったのか。
他の質疑では、山口欽秀議員が「市や北串会には非がなく、反対した市民が悪いと受け取れる撤退理由だ。市長はその理由を認めたのか」と問うが、白川市長は「北串会の決定を報告しただけ」という。さらに「今後、本市の保育行政をともに担っていくものと信じていただけに、残念な思いだ」と述べた。これまでの市民の声や思い、約3千筆の署名の意思は伝わらなかったのか。
武原由里子議員は、「同園工事には交付金が含まれる。しかし、市は民間事業であることを理由に、入札の立ち会いもなく入札結果の公開を求めても応じない」と意見した。
結局、約9か月に及んだ同園事業の混乱は何だったのか。わかったことは、事業者選定や入札、事業申告などのずさんさと無知、責任逃れ体質だけではないか。