2021.10.12パワハラ疑惑、議会追及では限界
当紙に寄せられた投書内容から始まった、一定数の教員から不評とされる教育方針や教員へのパワハラ行為などの事実確認のため、市議会常任委員会は久保田教育長から聞き取りを行なった。
当紙は、この件についての当事者的立場であり、当然ながら投書人や他に電話などで寄せられた情報もよく把握している。しかし、市議会内で傍聴席側は発言を許されず、仮に発した場合は退席となるため、聞き取り調査の約1時間半、質疑と答弁にじっくりと耳を傾けた。
聞き取りを終えて思うが、議会の追及はこれが限界であろう。何よりも投書人や他教員が誰かさえも分からず、判断する情報が不足しているからだ。記者の目から見れば、逆に議員こそ傍聴席にいる立場なのではないか、とさえ思えた。
このことは当然、聞き取りの一部始終を耳にしていた他紙も同様ではなかろうか。このような聞き取りで真実が見えるはずはない。ましてや、議員や記者がいる前で、教育長が否を認めるなどあるはずがない。仮に他紙が今回の聞き取りを記事にしても、一方的な教育長の答弁のみとなり、教員が発してきたこれまでの声はかき消される。このようなことが起きてはならない。
教育長の答弁は、当紙が把握する内容と反する部分がある。「パワハラはあり得ない」というが、では、なぜ幾人もの教員が声を上げるのか。「強制や押し付けはしない」も同様だ。明らかに事実と違うのは、当紙の購読解約は1件というが実際は7件だ。他にも気づいた点はある。
このことから委員会終了後、当紙はすぐに教育長へ一対一の対話を申し込んだ。教育長へ「傍聴席にいたため、発言できないのは承知していた。しかし、私が知る事実とは異なる発言だった。言いたいことや聞きたいことは山ほどある。そのため、話ができる時間をいただきたい」と伝えた。教育長はしばらく間を置き「何も隠すことはない。すべてオープンにする」と答えた。近々、対話の機会が設けられるはずだ。
教員を除いて唯一現場で何が起きたか直接聞いたのは当紙であり、一対一の対話は、この問題の原因と事実の確認のためだ。
教員の個人情報は必ず守らねばならないと、投書が届いた時から考えていた。現在の教育行政の状況では、誰が投書したか知れた場合の影響は大きく、誰もその責任を負えない。それは教員の人生に関わるからだ。だからこそ、当紙判断で投書はすべて匿名としている。当紙の場合、購読の解約ぐらいしか影響(報復)はなかろうが、それもすでに受けている。記者名も、すでに紙面で堂々とさらしているので、何も臆するものはない。