2023.10.03イルカへの執着を離れ、冷静な見直しを
予算特別委員会の22日、壱岐イルカパーク&リゾートのイルカ2頭購入と1頭を借用する費用や運搬費などの関連費用として、1128万円を追加補正する審議で議会は紛糾した。
議案では、イルカパークで6月14日、飼育しているイルカ1頭が死亡し現在2頭になったため、「イルカ2頭のままの運営で観光集客などに大きな影響を与えている。早急に新たなイルカを導入し、特別な環境、魅力的な体験を充実させることで周遊観光の促進と観光消費拡大につなげる」と説明する。
同園のイルカ死亡は、2019年4月25日のリニューアル以降、わずか5年間で6頭の死亡が相次ぎ、異常事態と思えるほどの連続死亡が起きている。当然のことを言うが、イルカの飼育や頭数を確保するには多額の予算がかかり、これまでも多くの予算が注ぎ込まれた。このまま果てしない予算投入が続いていいのか。
これまでイルカ6頭の死亡例
①2019年5月3日、開園わずか約1週間でイルカが死亡。2017年3月に購入した雄で推定年齢は4歳。
②2019年12月28日、雌のイルカが肺炎により死亡。
③2020年2月28日、推定年齢18歳の雌のハンドウイルカ死亡。死因は肝機能障害が原因と推測。同年5月19日、新たに雄(12歳)と雌(12歳)のハンドウイルカ2頭を購入。市は2020年度当初予算にイルカパーク管理費としての予算を上げ、その中に今回のイルカ2頭の購入費を組み込んだ。
④昨年1月1日、推定年齢7歳の雄のハンドウイルカ死亡。2017年3月に導入し、同園では最も若いイルカだった。
⑤2月28日、推定年齢18歳の雄のハンドウイルカ死亡。2020年5月に導入したイルカ。
⑥6月14日、推定年齢18歳の雌のハンドウイルカ死亡。2020年5月に導入したイルカ。年内に2頭が死亡。
この5年間で6頭のイルカの死亡例を振り返るが、どれも明確な死亡原因の公表はない。
いつまで続く、高額な予算投入
これまで同園にかかった市の予算も高額だ。参考までに、今回と同様にイルカ2頭購入を含めた2020年の例を見る。同園管理費として2911万5千円。当時はさらに、「調餌場改修、研修用足場などの整備、イルカ飼育管理強化、研修プログラム、集客イベント企画」などの事業に、7986万円(国50㌫、市50㌫)の予算もあった。管理費と事業費を合わせれば、1億円オーバーの予算を当時の議会は可決している。
2021年の決算では、イルカパーク管理委託料1980万円、同園再生整備としての壱岐島リブートプロジェクト事業委託料が5537万8200円だった。現在、同園は民営化に移行し指定管理料は800万円となったが、ここまでにかかった予算は莫大だった。
2021年12月の決算特別委員会で「2018度から2021年度までに、イルカパーク再生事業にかかる経費は、事業費合計約2億9300万円、指定管理委託料合計約7千万円、合計約3億6300万円の税金が投入されている」とある。一方この時期、市は「財政の健全化」を掲げ、高齢者福祉など補助金削減により、市民サービスは大きく低下した。
今回、議会は新たにイルカを購入するとして高額な予算を採択した。議場では疑問視する意見もあったが結果は賛成多数。いつまで市は高額な予算を投入し続けるのか。イルカに執着せずとも同園活用のアイデアは他にありそうな気がするのだが。