2023.6.06隠蔽による発覚の遅れか
市消防本部内で職員間でのパワーハラスメント行為による懲戒処分があった。2013年から現在にかけて、約10年間にも及ぶ行為だったという。これほど長期間に起きた出来事だったのに、なぜ、改善されなかったのか。当時から現在までの上司は気が付かなかったのか、それとも見て見ぬ振りだったのか。あるいは、パワハラ行為に対して根性論とはき違え、日常のこととして慣れや麻痺となっていたのか。
この10年間、パワハラ行為により精神を病み、退職せざるを得なかった部下職員がいたのかもしれない。そう思えば、今回の事案はかなり悪質だと言えよう。
今年3月、当紙宛に、消防職員と思わしき人からの投書による情報提供が届いていた。しかし、投書は差出人不明で連絡先も不明、さらに、別件で他からも市職員に関する内部リークめいた内容が届いていたため、パワハラ行為の投書は編集部内で保留扱いとされた。今にして思えば、なぜ、何らかの方法で署の内部確認を行い、情報の真偽を確かめなかったのか悔やまれる。よって、パワハラ行為の詳細が記された情報提供の一部を抜粋し掲載する。
【市消防職員からの情報】
「市消防本部ではパワハラ問題により組織内はガタガタです。ことの発端は昨年8月頃、採用されて1年目の20代の消防士が 40代の係長から暴行を受けたことです。暴行を受けた職員は当務隊長へ相談をしたのですが組織内では対策がとられなかったため、総務省のパワハラ相談窓口へ相談することになりました。
その後、市と消防本部は総務省消防庁から指導を受けたこともあり、職員全員への聞き込み調査、面談などが行われました。
しかし、今回の件が表沙汰になるまでにパワハラ行為は、同じ職員により度々発生しており、暴行も今回がはじめてではなく、外部の相談窓口を頼って表面化したのがはじめてという実態があります。
面談実施の際に、これまでパワハラを受けた職員に対して、パワハラをした職員の処分を望むか、望まないかを聞いていました。しかし、いまだに処分や今後の対策など具体的なことは一切行われておらず、挙げ句の果てに処分を望むと言った職員に対して来年度以降の人事に配慮をするという交換条件を提示し、取り下げの文書を提出するよう促し、隠蔽の方向で動いているようです。
パワハラに関して組織が行うべき対応は、取り下げなどはなく、パワハラがあったのか、なかったのかの事実で判断すべきことと思います。
見て見ぬふりの組織体制に総務省消防庁の職員がわざわざ遠方から本市に来島し、市と消防本部にパワハラに対する認識の低さや窓口が全く機能していないと指導を行った形なのですが、組織体制は一向に変化はなく時間ばかりが過ぎています。消防本部の職員の間では、組織としてのあり方に疑問をもつ職員も多く不穏な空気が流れています…」
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以上が内部リークの詳細である。今回、市が公表したパワハラ行為以上に実態がつかめるものと思う。「暴行」「組織の隠蔽」これらはどうだったのか。今となれば、差出人不明であろうが、投稿人からの文書の真実性は高い。
さらに投書には「消防は閉鎖的な組織であるだけに、上層部でことを荒立てないようにする隠蔽体質ができあがっている組織が多く存在しますが、本市もそのひとつになっていると感じざるを得ません」と、組織の問題にも言及していた。
当紙は、市消防本部の内部状況が早い段階でわかっていたにもかかわらず取材を進めなかった。この場を借りて消防職員に対しお詫びしたい。そして、この機会に一つお願いがある。投書をする場合、必ず差出人連絡先を明記してもらいたい。個人情報の公表はしない。あくまでも情報内容確認のための連絡先としてだ。今後、他からの投書を含めぜひ記載を。