2021.3.30財政改革で市民らの反発も
施政方針で白川市長が挑戦したいと意気込みを見せていた案で、政府が進める「スーパーシティ構想」は議員の反発から事実上の凍結となった。現在、市が進めているSDGsモデル事業もそうだが、同構想の内容はいまいちわかりにくい。
内容を簡潔にいうと、車の自動運転や行政手続き、キャッシュレス決済などの最先端技術を導入し、自治体の仕組みや地域社会のあり方を変えていこうというもの。構想が実現すれば、この先にはかつて想像していた未来都市の姿が現実となるかもしれない。
しかし、同構想を進めていくならば多額の予算を伴う。大半は国からの予算で賄えるだろうが、自治体側の負担が全くないということはない。仮に本市が選定された場合は、早速予算組みが始まるだろう。現在のような財源不足に喘ぎながら、市民も痛みを余儀なくされる中での予算捻出だ。
そもそも同構想案に反発した議員らが言うように、SDGsしかり、同構想しかりで、一体市民にどんな恩恵があるのか説明がない。市民と行政間で認識や考え方の乖離もある。市は住民サービスや市民団体などの予算を削りながら、市民の理解が得られていない事業を進めている。挙げ句の果てには、委託料などで島外企業へ資金が流れていく。この財政運営の歪みが市民の不満を招いていることを知るべきだ。
結果的に同構想は「取り組みへの挑戦は慎重に検討する」として、一旦凍結とした。正しい判断であろう。今は身の丈を超えるような事業に手を出す時ではない。少しでも予算削減による市民への痛みを回避する方向へ全力を注ぐべきだ。
現在、市の新型コロナ感染拡大時の対応や財政不足に陥った現状、それに伴う白川市長が発した「勉強不足だった」との発言に対して、市民からの反発が高まっている。SNSでは、市政運営に疑問を感じ今後に不安を抱く有志らが、「壱岐の未来」を考える市民の会を立ち上げている。
メンバーは「ずさんな市政運営のせいで、高齢者や子どもなど市民に痛みを伴う財政改革(予算減額)が説明もなくいきなり始まっている。実は、しがらみや既得権、忖度などの理由で偏った財政改革になっているのでは」と疑問を呈し、「たくさんのしがらみの中で本市を変えることができるのは、民意しかない」とし、本市の未来像を探る。フェイスブックなどインターネットを通じて、同会への賛同者が増え続けている。これも民意のひとつの表れであろう。
現在、市民の不満は頂点に達しようとしているように思える。民衆の反発理由は行政側の「傲慢、一方的、不平等、権力の行使、偏った利権」や「愚策による住民への責任転嫁」など。これらは過去の歴史が物語っている。本市の場合はどうなのだろうか。