2020.9.29続く非常識な市の対応

 最近の市政を見て、どうにも市の対応や仕事ぶりに疑問を感じざるを得ないことが増えてきたような気がする。

 市は市ケーブルテレビ施設通信機器の更新工事に、2億7225万円を随意契約しようと、市議会9月会議初日の10日に議案上程し、当日に採決を求める提案をした。前回号でも指摘したが、市財務規則に随意契約の限度額として30万円から130万円と決められているにも関わらずだ。

 市は説明の中で、随意契約の場合のガイドラインを記載した書類があることを示したが、このガイドラインとは市職員のみに渡されていたもので、一般の事業者や市民には全く知られていないものだった。当紙は市に閲覧を求め、内容の確認をしたが、約3億円もの随意契約が可能なのかどうか釈然としない内容であった。

 この随意契約は結局、議案上程からわずか6日後の16日に行われた議会で突如、議案の撤回を決めた。このわずかな期間で、市の中では何が起き、どのような話し合いがあったのか。そもそも、約3億円もの随意契約を公表する段階で、議会や多くの市民に疑問が生じることを想定できなかったのか。それくらいの想像力さえもなかったと言うことなのか。それとも、市財務規則を軽視、あるいは独自解釈したということか。いずれにしても、疑問は疑問を生むだけだ。

 特に市ケーブルテレビの業務に関する契約などは、昨年起きた新旧指定管理者業務移行の問題が記憶に新しい。契約の協定書をめぐる解釈が市と旧指定管理者との間で異なり、弁護士を介した協議にまでこじれてしまったではないか。結果的に、市は旧指定管理者に約1億5千万円の譲渡金を支払い、市の顧問弁護士にも約1千万円もの費用を支払っている。この業務移行のこじれから、昨年6月には、海底ケーブルの回線使用権利の問題で、市は約3300万円の予算を組んだが、これも回線契約料の二重払いとなっていた。多額の予算を預かる責任の認識が希薄すぎるのではないか。

 また、18日には在福岡米国領事館の首席領事が来島した。かつての戦争で初山地区に墜落したアメリカ爆撃機B29の搭乗員を追悼するため石碑を建立した地元有志の想いに感銘を受け、自らも追悼したいと強い想いで訪問している。

 首席領事が訪問する連絡を受け、石碑の関係者らは失礼がないようにと、数日前から草刈りや星条旗掲揚の準備などに追われた。しかし、首席領事が石碑前で追悼する場に、市の関係者は誰一人来なかった。もっと言うならば職員誰一人として、港での出迎えも見送りもしなかった。さらに、市内案内もなく、首席領事は自らレンタカーを借りて移動していた。やったことと言えば唯一、市役所での市長の表敬訪問のみだった。

 一国の代表者に対してのこの扱いは、領事他関係者の目にはどう映っただろうか。

 関係者の一人は「市が何もやらないので、民間でやるしかないと思った。石碑周辺は足元がぬかるむため、市に長靴の相談をしたが何も対応がなく、日米の国旗を掲げるため、旗竿を借りたい旨を相談したが、これも対応なし。市の返答は、『市の対応は表敬訪問まで。あとは民間で。基本的に市はノータッチです』と耳を疑うような言葉だった。市の対応には疑問ばかり。これでは壱岐を訪れる人が喜ぶわけがない」と憤った。

 市は、自らの行動や考え方を一度振り返ってはどうか。先に挙げた様々なことは、何も難しいことを要求しているのではない。ただ、常識を問うているのだ。(大野英治)