2020.10.06不適正事務処理により市職員が懲戒処分

工事費未払いで1879万2400円の賠償

 市は、市議会9月会議最終日の先月29日、平成30年度の繰越予算として令和元年度に実施した郷ノ浦町の古城団地二棟の内部部分改修工事の工事費で、1879万2400円の精算処理が遅れ、工事受注業社への未払いがあったことを発表した。市は、賠償金として受注業社に同額の超過支払いの必要があることを議案上程し、賛成多数で可決した。受注業社とは同月25日、示談書の押印を済ませている。監督員だった市職員2人は懲戒処分、市長と副市長は行政責任として減給処分とした。

 

 事務処理など工事に関わった市担当職員は、同工事での精算処理の遅れから、契約額の未払いとなる不適正な事務処理を行ったとして、先月28日付で「市職員の懲戒処分の公表基準」に基づいた処分となった。当時の同工事の監督員を担当した、現在市教育委員会(前、市長事務部局・課長補佐兼係長)の男性職員(57)は、給与の10分の1減給を1か月、市長事務部局・課長補佐兼係長の男性職員(50)は戒告処分とした。

 また、同工事での関係職員や管理監督責任者だった当時の他職員3人は、3月に定年退職をしているため処分対象とはならなかった。さらに、発注者としての行政責任があったとして、白川博一市長と副市長は給与の10分の1減給1か月を自ら決めた。

 白川市長は、損害賠償と市職員の懲戒処分について「議会及び市民の皆様にお詫びを申し上げたい」とし、「不適正な事務処理により、公共工事に対する信用の失墜とともに、工事請負業者、議会、市民に多大なる迷惑をかけた。今回の不適切な事務処理の要因は、業務上の連携や指導が不十分であったこと、自らや副市長を含めた市職員の情報共有が不十分であったことなど。再発防止として情報共有や伝達、意見交換などを迅速に行う」と謝罪した。

 

同工事で起きた不適正な事務処理の概要

 平成30年10月に各工事の落札業者は決定していたが、内部部分改修工事は入札が3度にわたり不調となったため、令和元年度の繰越事業となった。3回目に応札した業者と見積もり入札を実施し、令和元年6月に4回目の入札で落札となった。この間、先に落札した電気工事や吸排水工事の中断をせざるを得ない状況となった。

 昨年6月の施工業社との打ち合わせの時に、吸排水工事の落札業者から「落札から8か月以上経過している状況では、手持ち工事の状況も大きく変化し、建築工事が落札されたからと言ってすぐに体制を整えることは困難」と意見があった。

 今後の工事で、入居者の転居後の施工で玄関の改修が必要になることや、建物の構造上から2工程を3工程に変更しなければならないことなどから、工期延長せざるを得ないことが市と業者との協議で確認された。

 昨年7月、全ての工事を管理する委託業社が決定した。同月19日の第1回工程会議で「令和元年度中に工事の完成を終えなければならない繰越工事であり、工期の短縮を図るため」との理由から、浴槽改修からユニットバスへ工法を変更した。本来、追加工事としてユニットバス24台など追加発注をしているにも関わらず、最終契約書では4台分しか計上されておらず、20台分が未払いとなり、その分の額が1879万2400円となる。

 ユニットバスなどの追加工事は工期内に終了しているが、補正予算の計上や、その他の事務手続きの不備もあり、実績による変更契約を交わしておらず、出納閉鎖期間内に行うべき精算が行われず未払いが発生した。