2023.6.13第2回部会「非公表」の決定に苦言
3月に起きた離島留学生の死亡を受けて先月16日、長崎市で離島留学制度について考える「市民団体子どもの未来応援実行委員会」の集会があった。参加者らは、子ども達の命や人権についての関心と問題視は続いているとの考えを示し、子ども達への行政や地域のサポート体制の不備、同制度のずさんさを指摘。制度の問題と改善について意見を交わした。さらに、離島留学生の死亡事案について検証されることが一切ないことに不満を漏らした。
同月27日、今後の同制度の見直しや改善のための「離島留学・いきっこ留学検討部会」の第1回会議が開かれた。同会議は計3回開かれ、8月までに部会で話し合われた内容や意見をまとめ、県が設置した「これからの離島留学検討委員会」に報告する流れだ。報告を受けた同検討委員会は、今後も同制度の継続のため、改善策をまとめる考えだ。
そして7日、第2回目の検討部会が開かれた。しかし、個人情報など「プライバシーに関する情報を取り扱うこと」と「県の指示により」の理由から同会は関係者以外の入室を制限し一般の傍聴を非公開、マスコミによる入室取材も不可となった。
個人情報などの理由から一般傍聴を非公開することは理解できるが、なぜマスコミに対してまで非公開とするのか。振り返れば、昨年に約10か月間もの期間、混乱を招いた「認定こども園建設計画」での「市子ども・子育て会議」も、同様に個人情報を理由に非公開だった。結果としてどうなったか。市民への詳細な説明は伝わらず、見えないところで「こと」が進んでいったではないか。そして、最も混乱に巻き込まれたのは市民であり、子ども達の保護者だった。
今回の離島留学制度も同様だ。離島留学生の死亡事案は全国の目と批判を受け、本市の一挙手一投足が注目されている。ましてや、同部会は3回しか開かれず、8月までには県への報告をまとめ上げねばならない。逆に問いたいが、この部会の内容をどうやって市民へ伝えるというのか。「認定こども園」と同じく、市民が知らないまま県に報告し、結果だけを知るのみなのか。プライバシー保護の観点があるのであればマスコミに対し、事前に伝えれば良いだけではないのか。「非公開」「密室」の会議ほど、疑念を持たれるものはない。
前回、第1回部会についても苦言を言う。里親や離島留学生などにアンケート調査をしたと言うが、最も重要な調査と耳を傾けるべき言葉は、現里親や現留学生ではない。何らかの理由で途中転退学していった留学生であり、その実親などではないのか。その調査と言葉に、今回の事案検証の重要な鍵があるはずだ。第2回部会ではその声を調査すると言うが、きちんとした検証は可能なのか。
1人が死亡した重みを感じることがないまま、制度の継続を重視した協議にだけはならないと信じたい。記者から見れば、全面公開とした市民団体による集会の方がよほど、緊張感と危機感が感じられる。