2022.5.07民意に沿った議会改革のはず
適正な議員定数や会派制、市議会の活動をより市民に知ってもらう広報などを協議するため、4回目の議会改革委員会(土谷勇二委員長)が開かれた。
これまで4回の委員会を通して、議員定数に関する考えが二分していることが分かった。議員7人で構成された同委員会は、3人の委員が「現在の議員定数から削減をすべき」との考えを示し、委員長を含む4人の委員が「現状の16人の議員定数でよい」との考えだった。
今回の議員定数に関する議論の発端は、昨年8月1日に投開票となった市議選前の市議会定例会6月会議で、植村圭司議員が、議員定数16人を14人に改める『市議会定数条例の一部改正』を発議したことによる。この時の採決は賛成5議員、反対10議員で否決された。
当時の発議で植村議員は定数削減の理由を次のように述べている。「現在の議員定数は8年前に決まったもの。以降、人口減少に歯止めがかからず年間約440人も減り続けている。現在の本市の人口に対しては14人が適正な範囲。市の財政も厳しく先行きも不透明なまま。先のリコール運動は市政全般への市民の不満が積もったものであり、議員にも向けられた声だ。行政や市民サービスにばかりスリム化を図るのではなく、議会のスリム化も必要。今は思い切った改革をせねばならない時だ」。
一方、否決した議員の意見には「議会で議論をして納得した上で発議すべき。なぜ、事前に議会内で話し合いがないまま発議したのか」などだった。この時の議論を振り返るが、否決した議員は定数に関する是非ではなく、「事前に議会で話し合うべきこと」を強調している。そもそも論だが、互いの論点が噛み合っていない。議会は市民に見えるよう公の場で議論すべきもの。密室での事前の話し合いなどあり得るものではない。どれだけ時間がかかろうが、議論は公の場になる本会議で進めるべきだ。
同議会で当時、この密室の議論推奨とも思える意見に否を唱えたのが町田正一元議員だった。「市政合併時(4町時代)には62人もの議員がいた。当時、私は議会解散を提案したが否決され、市民から議会解散請求が起きた。結果は市民の圧倒的多数をもって定数削減となった。他議員が言う手続き(事前協議)の問題はわからないではないが、議員は本会議で採決するもの」として、市民の目に見える形での議論が重要との意見を述べていた。
今回の委員会では定数削減の議論が重ねられた。しかし、賛否どちらにも議論にも多くの市民の考え、いわゆる民意が反映されていない印象を強く感じる。定数は現状のまま、あるいは削減すべきとの市民の意見よりも、議員個人の考えが優先のようだ。
汗を流し市民の声を聞いて回ることなく、机上でのみ審議を進めているということはないか。違うというならば、なぜ民意を感じない審議が続けられるのだろうか。「市民の付託に応え開かれた議会を目指す」のスローガンはどこにあるのか。