2020.12.30来年は財政の見直しを望む

 今年1年を振り返り思うことは、とにかく新型コロナウイルスに振り回された年だった。 3月14日に、県内初の感染者確認があり、市内には衝撃が走った。当時はウイルスの正体や詳細が分からず、感染力や健康面への影響が過大な印象となっていた。そして、4月上旬には5例の感染確認がわかり、一時は集団感染の疑いさえも起きた。

 皮肉なことに、同時期に今後4年間の市政を決める市長選の投開票とも重なった。感染拡大を警戒した市民は、過去の選挙以上に期日前投票を済ませ、当日票はコロナと悪天候が重なったために、結果的に前回の市長選より12・09㌫も低く推移した。投票者数計1万4527人から、当選した白川氏と森氏の差はわずか329票の僅差で終えた。

 その後、4期目として始まった白川市政は、コロナ禍による経済対策を目下の課題として取り組むこととなった。

 本市はこれまで、国の政策に沿った形で、外国人観光客誘致のインバウンド政策や国内観光客を呼び込むための観光振興に力を注いでいた。しかし、春から夏にかけての非常事態宣言や県またぎの移動自粛などは、もろに市内経済にダメージを与えた。

 市は、国と足並みを揃えた緊急経済対策としての施策を繰り出し乗り切っていったが、末端の経済にまで及ぶ影響は今も残る。

 この先考えられることは、現在も感染拡大を続けている第3波の感染防止策の強化と、なによりも再びの経済支援対策だ。ただ、本市の財政状況はどうなのか。基金の取り崩しなどで市政運営をしている実情があり、国の支援や交付金もこの先どうなっていくのか不安だらけだ。

 市長は、限られた財源の振り分け見直しや、これまでの事業の中止や延期もあり得るという。さらにゼロベースの施策をするとまで言い切った。その場合、どこまで市の事業にメスを入れるのか。

 東京事務所やイルカパークなど、多額の予算を投入した事業の判断はどうするのか。建て直しが検討されている郷ノ浦図書館や、今も議論が尽きない健診センター建設などの新事業は、このまま計画通り貫くのか。言葉だけではなく行動が伴うよう期待したい。(大野英治)