2019.7.23明確さに欠けた答弁に非難の声
芦辺中新校舎建設が3度もの工期延長となり、校区の住民をはじめ、様々な方面の市民から当紙宛に意見が寄せられた。それら意見を聞くにつれ、我々が想像している以上に、地域の住民や保護者らの落胆さは大きなものだったと実感した。
意見を寄せた市民のひとりは「10月28日を竣工検査日として目指すと教育長は謝罪の弁で述べていた。しかし私たちが知りたいのは、いつ移転ができるのか。最終検査日が公表できるのならば、移転日も明確にできるはず」と言う。さらに「検査日だけの公表で留める理由は、もしかしたら4度目の延期が起こる可能性があるからではないのか。その逃げ道として明確な移転日の公表を避けているのではないか」ともあった。
確かに、これまで市議会で発言した答弁を確認すると、当初の3月末完成予定時には、「新年度から新しい校舎で」と4月の入学式までの移転を示している。また、8月末完成予定だった時も、「8月25日ごろまでに完成し、検査を終えた後の8月末までに移転を完了する」と述べている。今回の場合は、以前とは違い明確な移転日を示していない。
市議会6月会議の全員協議会で、市長や教育長が3度目の延期に至った説明を終えたのち、各市議から飛び交う質疑の中に、「芦辺中の生徒はいつ新校舎で学べるのか。見通しは。早期に保護者に伝えるように」とあったが、教育長は「完成次第早期に移転」とのみ答弁している。「まさか4度目の延長はあるまい」と考えるが、これまでの工期延長報告とは違い、明らかな温度差を感じる曖昧な答弁に、さらなる延長の可能性を含めた先手を打った逃げと思えてならない。
また、市民から寄せられた意見とともに、市長と教育長の謝罪の言葉を直接聞いた記者にも疑問は残る。
以下に市民の意見を含めた疑問を記す。
▼教育長は謝罪の弁で数度にわたり「工程会議で(建設会社側に)指導を重ねた」と発言するが、指導とはどういうことか。建設会社と現場に非がある印象を受ける。市教育委員会は明確な指導を示したが、建設会社側が指示通りに動かなかったと言うことか。
▼3月5日の工程会議で、計画75㌫に対し、実績20㌫だったという。この段階から大幅な工期遅れはわかっていたはず。指導をしたというのであれば、明らかな指導ミスではないのか。
▼市長は謝罪の答弁で自ら「行政責任を明らかにする」と発言しているが、教育長の答弁は工期遅れの説明のみで、自らの責任には触れていない。なぜか。また、市長はどのように責任を取るのか述べていない。
▼建設会社に対して市の規定に基づく措置やペナルティを課すと言う。いつ、どのような措置やペナルティを課すのか示されていない。建設会社に対して損害請求はするのか。
工期延長が公表されるたびに、市民からは怒号と落胆が聞こえ、そして市教委は納得できない説明と不明確な責任の所在を繰り返し、終わりの見えない泥沼を感じざるを得ない。
今後は、当紙に届いた市民の声をまとめ、質問状にて市と市教委に明確な回答を示してもらうことを考えている。それまでに明確な説明を、公の場で発してもらえればそれに越したことはないのだが。(大野英治)