2021.10.26早急な説明責任が必要
平成28年4月の市長選後に起きた、白川博一市長による入札指名外し(回避)の民事裁判を掲載した前号記事の反響が大きい。6年以上経過した事案だが、市民の記憶には強く残っていたのかと改めて実感した次第だ。
平成28年以降、市議会議員による追及や、市民の調査請求により平成29年4月に行われた市政治倫理審査会の調査では、実態が見えづらい部分が多かった。入札から外した理由を問うた審査会に対し、白川市長は「信頼関係が無くなったことには、いくつかの要因がある。すべて司法の場で話す」と回答していた。市民への説明責任を果たすことについては「説明責任は十分理解している。説明は結審後になる」と述べている。
ということは、5日に長崎地裁で結審を終えているので、「どういう経緯で、何を根拠に、『信頼を失くした』とする真の意味について」など、白川市長自ら説明責任を果たさねばならない。当然、市議会の場での説明になろう。市民も不安の中にいると考えられるので、会見を開く必要もある。
これまで指名を外した理由について、白川市長は「信頼を失くした」とし、指名外しを受けた壱岐産業と白川市長との会話録音では「私の政治生命を絶とうとした」を理由としていた。しかし、裁判を傍聴し新たな疑問が浮かぶ。結審では突然「同社の経営不安と誹謗中傷を受けた」を理由に付け加えたからだ。
なぜ、この二つの理由を市議会や政倫審の場で言わなかったのか。なぜ、突然、結審の日に付け加えたのか。裁判長は「信頼関係を失くしたという理由ではなく、最も言わねばならない理由だったのではないか」と意見した。さらに「信頼関係のみの理由で指名回避をすることは、市民への萎縮を生むとは思わないのか」と厳しく問うた。結果、裁判長は「これまで尋問で述べてきた指名回避理由は本当なのか」という意味の言葉でこの日の裁判を締めくくった。
さらに、壱岐産業の経営状況や白川市長個人への誹謗中傷を指名回避理由とするが、どうにも釈然としない。これも反対尋問で問われたが、これら理由はすべて人づてであり、明確な根拠がない。このようなあいまいな理由で指名回避をしてもいいのか。市長は「政治生命を絶とうとした」というが、逆に壱岐産業が明確な根拠がないまま「社会生命を絶たれた」事態となった。
裁判を振り返れば振り返るほど疑問が募る。やはり当初の約束通り白川市長自ら市民に対し、早急に説明を果たしてもらわねば、すべての疑問は払拭できない。