2021.11.02昨年末の会食問題で訴え

コロナ禍にあった昨年12月18日の会食、市民が「違法行為」と民事訴訟

 市議会12月会議閉会後の昨年12月18日、市議会主催で開かれ市長ら三役と議員、幹部職員が参加した会食について、「重大な法令と義務違反があった。会食の主催者へ責任を問う」として、当時の市議会議長と議会運営委員長に対し、市民が民事訴訟の訴えをしていたことが当紙の調べで分かった。訴状を受理した壱岐簡易裁判所は26日、原告と被告の3人に出頭を命じ、第1回の口頭弁論を行った。

 

 訴えた理由は、「コロナ禍では、国が定めた新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づくようにされている。措置法の市長村計画で県の行動計画に基づき、市は計画策定が規定されている。この規定から市は、平成27年に『市新型インフルエンザ等対策行動計画』を作成しているが、昨年末に起きた会食で遵守されていなかった」とする。

 市対策行動計画には、「感染拡大を可能な限り抑制し、市民の生命及び健康を保護する」「住民生活及び地域経済に及ぼす影響が最小となるようにする」など、市民の生命や健康を保護する義務が市職員や議員に課せられている。

 原告の市民は「議員など特別職公務員は、市民に手本を示すことが責務。しかし、コロナ禍での集団宴会は明らかな非違だ」と語った。

 訴えられた当時の議長と議運委員長は「会食に参加したことは認め、反省している。しかし、会食開催や参加は法に違反していない。義務違反もない」と反論した。

 昨年12月14日、県内感染段階の「ステージ2」への引き上げに伴い、県知事は県民に対しコロナ感染拡大防止の通知を発していた。同月18日に開かれた会食は、新型コロナウイルス感染拡大の最中にあり、白川博一市長は市民に向けて「3密の回避、飲酒を伴う懇親会や大人数や長時間に及ぶ飲食の自粛」など、感染リスクを下げる工夫をするよう呼び掛けていた。

 しかし、市長が感染防止を呼び掛けた同日夜、市長ら三役と議員16人中15人、市役所幹部職員13人の計31人が参加して、市内の旅館で飲酒を伴う懇親会が開かれた。その後、同月24日には市職員ら22人が参加して集団宴会を開き、うち6人が新型コロナに感染、年が明けて1月2日にクラスター(集団感染者)が発生する事態となった。

 訴えを起こした市民は「この事実は無責任な行動により、市民の生命と健康の保護を怠ったことになる。さらに住民生活や地域経済へ悪影響を与えた」と話す。加えて2月3日付で市議会宛に「県知事の通知を軽視して飲食した議員らは記者会見で説明すべき」と要望書を提出したが、約1か月後の3月8日までに回答がなかったとして「不誠実な対応だった」と憤っている。