2020.8.14感染防止策へ徹底した支援を

 新型コロナウイルス感染拡大で、全国の離島にも影響が及び始めている。沖縄県では、日々感染者の確認が報道され、先月26日から1日までの人口10万人当たりの感染者数は18・38人となり、東京都の15・72人を上回る数値になっている。本県の場合は、2・86人と現在のところは一桁台に収まってはいるが、安心できるものではない。

 この状況を危惧し、沖縄県内の小規模離島は感染拡大に危機感を強め、国の方針とは別に独自に来訪自粛を呼びかけている自治体もある。理由として「住民の多くが高齢者で、医療機関も十分でない」として感染防止に取り組む。地元紙の報道では、約500人が暮らす津堅島の玉城盛哲自治会長は、「7月はマスクをしていない県外からの観光客もよく見かけ島民はみな不安に思っていた。都会と比べ診療所が少ない島では住民の健康が1番大切だと語った」とする。

 本県の場合、3月と4月に本市で発生した感染者確認で県内に衝撃が走った。当時、全国的にも離島の感染者確認はレアケースだったことから、全国のニュースで流れる事態となった。その後、本市で新たな感染確認はされていない(4日時点)。

 しかし、先月30日に対馬市で初の感染が確認されている。感染者は対馬病院に勤務する50代の男性だった。対馬市長は市のホームページ上で「対馬の生活圏は福岡であり、この日を避けては通れないだろうと覚悟をしていた。自分を守り、大切な人を守り、そして故郷を守って下さい」とメッセージを公開し、緊張を高めている。また、五島市でも先月22日、初の感染者が確認されている。全国の離島では、新潟県佐渡島、鹿児島県与論島、香川県小豆島などで確認され、離島への感染は明らかに広がっていると考えていい。

 国内の島を研究対象として活動する学術組織の「日本島嶼(とうしょ)学会」は、「現今の感染の広がりを、春の感染拡大を上回る島の危機ととらえている。事態はきわめて深刻だ。このまま感染が拡大すると、経済のみならず、医療をはじめとする島の全機能が麻痺し、島の地域社会が崩壊する」と警鐘を鳴らす。

 先月22日からGoToトラベルキャンペーンが始まり、先の4連休では本市にも多くの観光客が来島した。今後もGoToの勢いから、国あるいは各自治体による緊急事態宣言や外出自粛制限が発令されない限りは、来島者は増えるものと思われる。本市は「観光客の誘致に努める」方針のため、より多くの観光客が訪れるだろう。

 しかし、本市独自の感染防止策として掲げた「新しい生活様式対応加速化支援金」は、飲食店や宿泊施設など事業継続支援金を受けた事業者は除外するという。現在のように感染拡大が止まらず、その状況下で観光客誘致と言うのであれば、やはり支援金を受けた飲食店や宿泊施設を除外すべきではなかった。なぜならば、観光客と最も接する機会が多い業種だからだ。

 今からでも遅くない。感染拡大が本市にも及ぶ前に、必要なところへ必要な感染防止ができるよう支援金の見直し、あるいは新たな支援策をすぐにでも発するべきではなかろうか。(大野英治)