2019.9.10市民生活のために迅速な対応を
近年の夏季における集中豪雨は尋常ではない。本市においても2年前に「50年に一度の記録的な大雨」とされたものが、またしても同様に「50年に一度」の記録となってしまった。ここまで短期間で豪雨に見舞われれば、何が50年に一度なのか、異常気象と言われる定義は何なのか、疑問でしかない。
先月28日未明から降り続いた大雨は、本市で400㍉を超える記録となった。各所で水害や甚大な土砂災害こそ起こりはしなかったが、大雨にもろい地域では、相変わらずの冠水被害が発生した。
大雨と満潮時が重なったため、芦辺町クオリティライフセンターつばさ周辺の市道中山干拓線周辺が、またしても冠水により通行止めとなった。地域住民の話では、29日午前8時頃には、車両が通ることができないほどの雨水があふれていたようだ。気象庁発表のデータでは、道路冠水に見舞われた同日午前8時14分頃が満潮時刻で、しかも大潮に当たる日だった。前日28日夕方からは断続的な豪雨となり、結果的に翌朝には大潮の満潮と溜まった雨水による冠水が発生した。
周辺住民からの連絡を受けて、当紙が冠水現場に到着したのが午前9時頃。同道路は通行止めとなり、通過する予定だった車両は迂回路に回された。それから午前11時半頃、満潮の潮も引き始め、同時に前日からの雨も小康状態となり、道路の冠水も落ち着いた。
しかし、市がホームページ上で伝えた発表では、雨水が引いて通行可能と思われる状況から約2時間後の午後1時半に規制解除としている。その間、周辺住民や通行車両はいつになるかわからない規制解除を待ち、中には通行止めを示すパイロンを勝手に外し通行する車両も現れた。雨水が引いてから通行可能となるまでには、確かに道路上の安全確認があり、即座に規制解除にならないことはわかるが、実際に同道路は規制開始以降から規制解除までは、監視する担当者もおらず、放置された状態だった。また、市民からは、交通規制をする周知が十分ではなかったと指摘する声もある。
今では数年おきに起きる冠水などの被害に対し、通常時から対策をしておくべきではないか。道路が冠水した場合には、市民生活に支障がないよう、周知のための迅速な情報発信と、現場確認、交通規制の判断が必要だ。現在の対応を見ると、どこか緩みを感じてしまうのは気のせいか。
また、市建設課には冠水する道路について地域住民から対策要望の声はないと言う。しかし、当紙ではいくつか声を受けている。この差は何なのか。なぜ市民の声が届いていないのか。たとえ声がなくとも、冠水被害が起きていることは事実だ。率先して対策に講じねばならない立場にいるのではないか。
災害はいつ起きるかわからない。市民の声と要望を敏感にキャッチし、市民の生活と生命を守る手立てを真剣に考えねば、今後も起きる可能性のある自然災害に対応できるはずはない。(大野英治)