2019.9.10度々の通行止めに「冠水対策を」の声あり

またしても「50年の一度の記録的な大雨」に。芦辺町では道路冠水の被害

 

 先月28日深夜から降り続いた激しい雨は、2年前に被害をもたらした豪雨と同レベルの「50年の一度の記録的な大雨」となった。島内各所での壊滅的な土砂災害の報告はなかったが、芦辺町クオリティライフセンターつばさ周辺の道路は冠水のため29日午前から通行止めとなった。近年の記録的豪雨のたびに冠水する道路に、地域住民は「またしても通行止めか。何とか冠水被害を防ぐことはできないのか」と話した。同道路は2年前の豪雨でも冠水のため通行止めになった。市民からは「冠水するとわかっている道路ならば、対策をすべきでは」との声が挙がっている。

 

 芦辺町クオリティライフセンターつばさ周辺の道路は、同施設を始めイオン壱岐店や芦辺港のフェリーやジェットフォイル利用者が頻繁に通行する生活道路として、日頃から多くの車両が通行している。通行止めの道路周辺は谷江川下流に位置し、田んぼや畑に囲まれている立地の関係から冠水しやすい場所。周辺地よりも若干道路が下がった状態になり、満潮時と大雨が重なった場合、水が溜まりやすい形状となっている。

 通行止めのため迂回したドライバーは「またしても冠水のため通行止め。この場所は大雨のたびに水が溜まる。何か対策はできないものか」とため息をついた。また別のドライバーは「大雨になれば島で真っ先に通行止めになる場所。もう慣れっこになってしまった」と半ば諦め気味に話した。

 今回も冠水した道路に、市民からは「またか」との声がある。また、「災害被害を未然に防ぐ手立ては行政の責務ではないのか」と厳しい声も聞く。2年前の豪雨時には、大雨で流された軽自動車が溝にはまり立ち往生する状況も起きている。

 また、冠水による通行止めは、同日午前8時過ぎから午後1時半くらいまで。しかし、午前11時過ぎには水は引いていた。通行止め解除までの時間差から、勝手にパイロンを外して通行する車両もいた。市民からは「交通整理など、市は非常時の管理をすべきでは」との声もあった。

 市建設課は同道路の対策として「今のところは地域住民から対策の要望は来ていないが、声が挙がれば検討する必要はある」と話す。また、芦辺町に住む市議は「道路の下がっている箇所のかさ上げは必要では。地元の話では、道路かさ上げの声もあるようなので、その場合は対処をしていくべき」と話し、事態を重く見ている。このことから、冠水に対しての対策は急務と考えられる。

 本市では近年、豪雨による被害が度々発生している。平成29年6月末、本市の芦辺町と勝本町に甚大な被害をもたらした豪雨は、「50年の一度の記録的な大雨」として当時、観測史上1位の降水量となった。それから2年後の先月28日から29日未明にかけて、郷ノ浦町と石田町には再び「50年の一度の記録的な大雨」となる激しい雨が降り、地域によっては48時間で約450㍉近くの雨が降った。

 石田町にある観測データでは、先月28日午後8時で1時間あたり49㍉、29日午前3時には20・5㍉の雨が記録され、前後の時間を含め断続的に大雨が降り続いた。

 市危機管理課は28日午後10時頃、郷ノ浦町と石田町に「土砂災害に関する警戒レベル4」の避難勧告を発令した。避難所として郷ノ浦町は壱岐の島ホール、石田町は石田スポーツセンターを開設した。