2023.6.27「県教育行政の信頼を失いかねない」
県議会一般質問の16日、立憲民主党の白川あゆみ県議が離島留学制度と死亡事案に関する質問を、県教育長と大石賢吾知事に投げかけた。以下、質疑内容を記した。
白川県議は「高校生の死という、痛ましい事案が発生した。現在も、警察は事故とも自殺とも断定せず捜査中だ。一人の生徒が失踪し命を落としているこの現実に対して、県からいまだ何も説明がないことが大きな問題。これまでの離島留学を反省し、一度立ち止まって見直す必要があるのではないか」と疑問を呈した。
この問いに対し、県教育長は「生徒が安心して過ごせ、同制度が持続可能となるよう委員会を開催した。8月末をめどに、今回の事案の検証結果と制度の改善策の取りまとめを行う」と答えた。白川県議は「県のホームページでは、来年度の留学生募集が始まっている。現時点で、壱岐市の事案を問われたらどう説明するのか。(検証結果もない今)8月以降から募集すべき」と反論した。
さらに2点の問題点を挙げた。「離島留学支援員はもっと生徒や里親に寄り添う時間を与えることが重要。生徒のSOSをキャッチするため、専門家などを交えた体制の構築が必要」と指摘した。
もう1点は、里親制度のあり方を示した。「同制度の里親は寮としての生活環境の提供を行っている人もいれば、児童福祉法における里親のように養育者として面倒を見る人もいて、認識や対応の差が大きい。留学生の受け入れ人数も、1世帯で小学生から高校生までの留学生計9人の受け入れや、70代の高齢者が4人以上受け入れの例がある。これでは目が行き届かなくなるのは当然だ。里親のあり方を根本から見直し、受入れ人数の制限や里親のケア安全管理マニュアルの作成、里親の研修を行う必要がある」と意見した。
続けて「同制度での転校退学する生徒の割合は県内5校の合算で23㌫にも及ぶ。通常の県立高校の割合が5㌫程度なので異常だと言わざるを得ない。この割合を県はどのように受け止め、対策を講じるのか」と疑問を呈した。県教育長は「支援体制の一層の強化、体験入学時の個別の進学相談を充実」と答えた。
質問の最後、白川県議は大石知事に対し「壱岐の事案に対し、島出身の知事の見解を聞きたい」と問うた。大石知事は「大変重く受け止めている。背景に何があったのかを検証するとともに、改めて同制度の運営上の課題について、現行制度を総括的に検証する必要がある。留学生を見守る体制を整備して、より魅力的で持続可能な制度となるように改善を図っていく必要がある」と見解を述べた。白川県議は「継続を思う反面、今のままでは県の教育行政の信頼を失いかねない懸念が残る」と意見し、質問を終えた。
県教委と知事の回答を聞き、死亡事案の危機感と検証の考えは希薄で、同制度の継続に向けた浅い回答にしか見えなかったのは記者だけなのだろうか。他選挙区でありながら、本市の問題を真摯に受け止め、質疑した白川県議には感謝しかない。