2023.5.30「原因を検証の上で改善を」

 3月に起きた離島留学生の死亡を受けて16日、長崎市で離島留学制度について考える集会があった。南島原市で発足した「市民団体子どもの未来応援実行委員会」が主催、県内各地から約70人が参加し、未だ死亡事案の衝撃は続いていることを実感した。あくまでも印象になるが、島外の県内各所では、子ども達の命や人権についての関心と問題視は続いているように見受けられた。

 県議会議員として参加した、白川あゆみ県議は「長崎の豊かな自然の島々で、それぞれの島の特徴を生かし、他県の学生を受け入れて育てていく。制度自体は素晴らしいものがある。しかし反面、制度のずさんさがあることもわかった。子ども達をしっかりとサポートする仕組みがない」と制度のあり方の問題と改善について意見した。

 長与町の八木亮三町議は「国交省の予算が市から補助金として里親に出るということは、当然市の予算に毎年組み込まれているわけであり、予算の審査があるはずだ。壱岐市議会はその予算を通してきたということになるが、その審査の過程で疑問、『これおかしいんじゃないか』というような声が出なかったのか。

 里親になるためには『離島留学生を受け入れられる家庭、受け入れた留学生を家庭的に健やかに養育できる環境を保持できること』この2つしかない。素人目にも要項にすらなっていない。これで市議会は予算を通し続けてきた。なぜ、おかしいという声が上がらなかったのか」と苦言を呈している。

 一般参加者は「今回起きた死亡事案について検証されることが一切ない。何か問題を抱えているような子ども達が留学に来るということは検討委員会(先月20日、県主催の離島留学検討委員会)の中で話に上がっていながら、里親の研修も面接もない。一方で高齢の里親が一人で頑張っている例もある。

 そういうことが一切、検討委員会では議論されず、問題をきちんと語られることもなく全く無意義な委員会に思える。この機会にきちんと何が問題なのかを県と市はしっかりと受け止め、それに対する改善や新たな制度を想定し作っていかねばならない。何もしないまま、なし崩し的に続けていこうというあり方が垣間見える」と厳しい意見があった。

 市民団体事務局の松島奈美さんは「何が原因だったのかということを突き詰めて考えていくことが、子どもの命や人権を守る大人の責務。意見は委員会として真摯に受け止めたい。辛辣な質疑の中から現状が見えてこないと、改善と課題はわからない」と各参加者の意見を総括した。

 離島留学制度の検証と改善はこれから始まる。県主催の検討委員会は8月までに改善策をまとめる。本市も県に連動するように同月までに第三者委員会での意見をまとめるという。県も市も、本気で制度の継続と必要性を感じているのならば、問題に目をそらすことなく、命の重さに重点を言いた改善策を示してもらいたい。県民は委員会の動向に注目している。