2023.1.24高齢者の命を奪いかねない感染拡大
新型コロナの感染が広がりつつある…こう書くと必ずと言っていいほど「新型コロナは風邪と同じ。何をそうあおるのか。疲弊した市内経済を回すことが大事」などの意見が届く。これら意見を聞くたびに思うことがある。「なぜ自分本位の考え方しかできないのか」。巷に溢れるニュースやインターネットなどの情報を鵜呑みにして、本市の実情を全く理解していない無責任な意見にしか思えない。
確かに数回のワクチン接種をすれば重篤化は防げることはわかる。約3年前の感染拡大時期と比較すれば、ある程度のウイルス分析も進み、変異を繰り返すことで弱毒性に変化している話もわかる。経済が大切なのは言うまでもない。
これまでにも繰り返し言ってきたことだが、本市は高齢者が多く住む島だ。若い世代や持病を持たない人らにとってはなんということはないコロナ感染かもしれないが、そうではない人達にとっては命を落としかねないウイルスでもある。事実、国内では過去の感染時期以上に死亡者の報告が増えている。これも「年寄りだから仕方がない」とでも言って切り捨てるつもりなのか。
市は昨年度から令和5年度までの高齢者福祉計画を作成している。その中に「2021年時点で65歳以上の高齢化率38・0㌫、団塊の世代が75歳以上となる2025年は高齢化率39・5㌫、75歳以上の高齢者の割合も23㌫となることが見込まれる」と記載している。約2年前のデータだが、さほど現在と変わりがない試算だ。
本稿の内容とは関連はないが、同計画によれば「今後の人口推計で、2040年には本市の人口は1万7143人となる。同年の高齢化率は42・3㌫の推計」となっている。これらのデータからわかるが、本市は間違いなく高齢化率が高い島であり、今後もこの傾向は加速していく。
これまでの本市の施策を振り返れば、補助金削減による入湯券やはり・きゅう・あんま施術など高齢者サービスの利用者負担が増え、決して高齢者に優しい島とは思えない。先月開会の市議会12月会議の一般質問で、音嶋正吾議員が指摘した「市はSDGsなど推進する事業には積極的だが、この島を支えてきた高齢者への思いやりが足りない。島外事業者などの優遇ばかりで、おかしな社会だ」と発言した。賛同する部分は多い。
昨年末から現在にかけての市民からの情報では、新型コロナによる高齢者の死亡が起きているようだ。公の発表はないが本市は狭い。口コミで情報は広がる。無論、ウイルスを広げた人を責める気はない。しかし、この島を支えてきた高齢者の生命を守るため、新型コロナの感染拡大を軽視することなく、今一度緊張感を持った感染防止に意識を向けるべきではないか。「守るべき時に守るべき人を守る」。我良しの考えを今一度見直してもらいたい。