2023.1.31寄付金の使途に疑問あり

 

 市議会1月会議の23日、壱岐クリーンエネルギー株式会社(中原達夫代表取締役)の令和3年度決算報告で、損益計算書に記載された寄付金99万円について疑問が上がった。計上された寄付金の一部で、自民党壱岐支部に60万円支出していることが市の説明によりわかった。山口欽秀議員は、市が資本金の4分の1を出資していることから「なぜ問題にしないのか」と指摘し、把握する範囲の経営状況と収支の流れを問うた。市は「監査報告を尊重し、寄付については知り得ないこと」と不明瞭な答弁にとどめた。

第三セクター事業者が自民党に60万円を寄付、市は関知せずと回答

 同社の事業は、芦辺町箱崎諸津触に風車2基を設置した風力発電施設などを手掛ける。「地域新エネルギー等導入促進対策費補助事業」により総事業費7億円のうち、2分の1以内の助成を受け、本市の将来に向けた脱炭素社会の実現などを目標にクリーンエネルギー構築を進めている。

 同社の監査役は深見忠生氏、末永榮幸氏、米本実氏の3人が従事し、同社の監査報告書をまとめた。監査役は昨年11月17日付で、令和3年度事業、決算報告、財産目録について「適正である」と判断している。

 山口議員は「同社が提出した監査報告書に、損益計算書で寄付金99万円を支出したと記載されるが、どこへ寄付したのか」と問うた。市は「内訳で自民党壱岐支部60万円、各公民館30万円、清和会4万円、瀬戸浦会花火大会5万円と報告を受けている」と答えた。

 続けて山口議員は「自民党へ寄付したと言うが、なぜ特定の党なのか」と問い、市は「市とは独立した運営の第三セクターであり、自主的主体的な健全経営に取り組むことが原則だ。この観点から決算などについては監査役が行うことであり、報告書については十分に尊重している」と答えた。さらに「市が関与する部分は、経営状況の評価、事業目的、経営状況などに適切な指導助言を行うものであり、寄付について市は知り得ないこと」とし、市が関与する部分ではないことを述べた。

 回答を受け、山口議員は「極めて不誠実だ。第三セクターの位置付けであり、会社が独自にやったから市は把握していないなどは許されない。ナカハラグループは生コンやホテル経営などさまざまな事業を手がけているが、同グループのホームページには、再生可能エネルギー事業としてのクリーンエネルギー株式会社も構成しているとし、さも同グループの一企業としての位置付けの印象がある」と指摘した。

 さらに「同社の役員構成にも同グループの名があり、会社所在地も同グループ内にある。風力発電施設のメンテナンスなどの業務委託も同グループに丸投げだ。その上で、自民党への寄付金もある。市としては何ら問題にしないのか」と再び問うた。

 市は「四町合併以前の旧芦辺町時代に、町が一部出資で同社が立ち上がった経緯がある。同グループが主体となって経営運営をしているのは確か。誤解を生むようなホームページであれば、市からも話をする。同グループとの連結決算は行われていないので理解願いたい」と返答した。