2021.6.29補助金の使途に矛盾あり

 市議会定例会6月会議での予算特別委員会で補正予算の審議があった。いくつかの事業が、3月の当初予算で予算削減から復活となったものや、新型コロナ感染症についての経済支援策など追加補正となったものなど、状況に応じた適切な事業費計上が可決した。

 その中で、木質バイオマス資源を活用した再生可能エネルギー導入計画が事実上の中止となり、交付された765万5556円の補助金を返納することになった。同計画は、いわゆる島内の道路や沿道にある枯木や高枝などを活用し、発電施設を導入するというものになる。

 補正予算概要にある中止の理由には、「調査の結果、道路支障木は枝葉が多く燃料資源に適さない。林業のない本市では、調達の仕組みを整備する必要がある。枯木の持続的な調達のめどが立たない」などとし、「多額の初期投資や維持管理費など、財政負担が課題となる」とした。

この導入推進計画は、平成28年4月の市長選で白川市長が掲げていた公約のひとつになっていた。当時の公約では「低炭素の島づくり」として、「風力発電の推進と道路高枝を資源とした木質バイオマス発電」の実現を目指していた。同計画は、いわば白川市長肝いりの政策だったはずだ。しかし、昨年4月の市長選では、この計画が公約に上がることはなかった。振り返れば現在まで、進捗状況や報告は皆無に近かったように記憶する。むしろ、水素発電導入や洋上風力発電の計画を耳にする機会が増えていった。

 今回の予算特別委員会では、補助金返納となった事態について、中田恭一議員が同事業の担当となるSDGs未来課と白川市長に意見を求めた。中田議員は「本市の枯木が発電に足りないことは分かっていたはず。約765万円は何に使ったのか」と問い、同課課長は「九電工へ電力需要の調査、導入の可能性の調査費をコンサルタントへ」と答えた。この質疑でコンサルタントへの調査費がほぼ全額を占めることも分かった。

 中田議員は「約765万円の補助金を申請する前に事前に調べ、採算が合わないと分かった時点で事業を停止すべき。それができなかったために、補助金を返納する事態となった」と強く指摘した。白川市長は「私が具体的な指示をした。結果的に燃料となる資源が足りなかった。今後は、安易に補助事業に飛びつかないようにする」と反省の弁を述べた。

 市の財政は健全だと言う。議会では市と市長はその理由を時間をかけて述べた。一方で市民への負担は変わらない。その中で無駄金と言っても過言ではない約765万円の補助金が市によって使われた。しかし、民間ではわずかな補助金でさえも削減の対象とされている。この矛盾は一体何なのか。