2021.11.16老朽化する航路更新が今後の課題

 市と白川博一市長は中村法道知事と面会し、県へ市の課題や振興支援を求める今年度の要望書を手渡した。今回、本市が提出した要望は10項目に及ぶ。

 毎年、この中から最も県に要望したいことを抜粋し、白川市長自ら中村知事へ口頭で伝えている。要望を受け、県知事はその場で考えを述べる。今年は「印通寺港施設整備」「地球温暖化防止対策に伴う再生可能エネルギーの導入促進」「磯焼け対策に関する支援の拡充」の3項目を口頭で伝えた。 他にもこれまで繰り返し要望している「壱岐空港の整備について」が今回も記載されている。壱岐空港と航空路の維持存続のため、現在の空港滑走路1200㍍を300㍍延長し、1500㍍以上の滑走路を実現するためのものだ。一昨年までの県知事の考えは「巨額の費用がかかる。現時点で予算を確保することは難しい」と難色を示している。

 一方で本市は、平成30年8月に市国境離島新法制定民間会議総会で空港整備促進期成会を発足し、官民一体となり本市全体で推進する動きを見せている。この要望案は、県知事が言うように巨額の費用がかかることもあり、市や県のみならず国への要望も不可欠であろう。そして、何よりも巨額の費用に見合う必要性があるのかも検討せねばならばならない。周辺環境への影響の調査も必要になる。しかし、これまでの県への要望活動と県知事の回答から、現状はかなりハードルが高い課題と思われる。

 課題は壱岐空港整備だけではない。市民や観光客の利用率が高いジェットフォイルの老朽化が、今後はより深刻な問題となり得る。

 当日の意見交換で豊坂敏文議長は「ジェットフォイルは人や物の流通手段として、生活や産業経済活動に欠くことができない。県内の就航船はいずれも船齢が30年を経過し、更新の時期を迎えているが、建造費が高騰し航路事業者も厳しい経営状況にある。建造が促進されるよう国へも要望を」と伝えた。

 山本啓介県議は「県は、総合型リゾート施設(IR)や観光客など交流人口増に向けて進めていく計画がある。しかし、離島への誘客の問題は残される。ジェットフォイル老朽化の問題は目の前にある。離島では民間の経済的体力がなく、待つ時間も余裕もない。具体的な計画のスケジュールを示していかねばならない」と意見した。中村知事は「船価が上がっているために難しいが、引き続き検討は続けている」と考えを述べた。

 この問題は本市や県内の離島だけではなく、全国の離島の問題でもあり、深刻な課題だ。そろそろ5年、10年先を見越した具体的な計画が見えてもいいはずだ。