2021.11.26消費喚起と経済復興施策を可決

ポイント還元のキャッシュレス決済や新型コロナワクチン3回目の接種準備など可決

 市議会は17日、定例会11月会議を開き、今年度一般会計補正予算や市営乗合タクシー運行に関する条例の制定などを賛成多数で可決した。補正予算は、新型コロナウイルス感染拡大により影響を受けた市内経済の復興を目的とする市緊急経済対策として「第2回キャッシュレス消費喚起対策事業」や、コロナワクチンの3回目接種にかかる予算など計8912万4千円を追加。公共交通空白地域となる初山地区と壱岐病院間の市営乗合タクシー運行の条例制定を審議した。

 

ポイント還元のキャッシュレス決済を開始

2月から1か月間、最大20㌫のポイント還元

 市は、市内の消費喚起と新型コロナウイルス感染拡大により影響を受けた市内経済の復興などを目的に「第2回キャッシュレス消費喚起対策事業」の追加補正を上程した。新型コロナウイルス感染症対応事業費として国費から5500万円を追加補正。

 市内の444対象店舗(10月30日現在)でスマートフォン向けの電子決済サービス「PayPay」を使って買い物をすると、最大20㌫のポイント還元を行う。実施期間は令和4年2月1日から28日まで。

 1回の利用で上限3千円、期間中1人最大1万円分のポイントを還元。PayPayで千円を支払った場合、後日200円分のポイント、1万5千円を支払った場合、後日3千円分のポイントを還元する。

 国が掲げる「2025年までにキャッシュレス化40㌫」の取り組みに呼応する形だ。市担当課は「1月末まで使用できるプレミアム商品券事業に続いて、2月にキャッシュレス決済に関する事業を実施することで、切れ目ない経済対策と市内経済の復興を目指す」と説明した。

 

来年3月までに8518人の接種を予定

3回目の新型コロナウイルスワクチン接種を準備

 

 国が進める新型コロナウイルスワクチンの3回目の追加接種が決定したことにより、接種に向けた体制確保と準備のため、運営経費などのうち、令和4年3月実施予定分までの追加補正を上程した。「新型コロナウイルスワクチン接種体制確保事業」として、予算は全額国費から3412万4千円。

 2回目のワクチン接種完了からおおむね8か月以上経過した接種希望者が対象。実施期間は12月中旬から令和4年8月まで。対象予定者数の2万808人(10月末時点)のうち、令和4年3月までに8518人への接種を予定している。

 

初山地区と壱岐病院を結ぶ市営乗合タクシー運行

他地区の利用も検討へ

 初山地区など交通の空白地域の利便性を上げるため、市営乗合タクシーの運行開始の条例制定を決めた。運行案には、土、日、祝日と年末年始を除いた平日に初山と壱岐病院間を1日4往復、料金は一般が100円~300円、75歳以上高齢者は100円。19日から運行を開始している。

 高齢者は、市が交付する市内路線バス乗車カードなどの提示が必要。回数券の発行も予定している。身体障害者手帳などの提示者や小学生も該当され、未就学児は料金が免除になる。

 質疑では、他地区での運用を検討する考えが示された。

 

プレミアム付き商品券の販売状況示す

16日までの販売率は約22㌫

 市は、市議会定例会11月会議で8日から販売を開始している「地域振興プレミアム付き商品券」の現在(16日)までの販売状況を公表した。

 26日までの一次販売分は、1万2587セットの購入数で、販売率は約22㌫。各世帯への購入引換券の郵送は初めての試みだった。利用期間は来年1月31日までとなる。

 同商品券の二次販売は、12月6日以降を予定している。市は「一人2セットまで購入できるが、一次販売の状況を見て改めて販売セット数を検討し、市民へ周知していく」と述べた。

 

キャッシュレス消費喚起対策事業についての質疑

山口欽秀議員

-スマートフォンでキャッシュレス決済をしていない高齢者などへのメリットは何か。若い世代や同決済をしている人らは消費喚起にはなると思うが。

 また、消費者側はポイント還元などのメリットがあることは分かるが、店舗側のメリットは何か。現在、同決済の登録店には利用手数料の支払いもあるようだが。

(企画振興部長)今回のPayPayを活用したキャッシュレス決済の取り組みは、消費喚起と経済を促すのが目的で、店側のメリットも含めた追加支援になる。

 なぜPayPayを活用するのかは、以前の事業実施による実績があるため。スマートフォンを持たない人に対しては、プレミアム付き商品券を発行した。しかし、キャッシュレス化は国も進めているため、スマートフォンを持たない人も導入にチャレンジしてもらいたい。

-幅広い市民に手が届く支援策として、PayPayが本当に有効なのか検証すべき。より多くの市民が利用できる方法を考えるべきだと思うが。

(企画振興部長)消費喚起や経済対策として有効だと考える。市内のPayPay利用加盟店444件の幅広い利用につながる。

(白川博一市長)これまでに行なったキャッシュレス決済やプレミアム付き商品券の施策は、市商工会加盟店は喜んでいると聞く。有効な施策であり、経済の活性化になっている。無論、商店の経済活性化が目的だ。

音嶋正吾議員

-市長は常日頃からSDGsの理念にある「誰一人も取り残さない」を口にする。市長は市内経済の活性化とは言うが、PayPayはまぎれもなく国の推進案に沿ったものであり、市長や市の考えではない。

 スマートフォンを使っていない市民への恩恵はない。「誰一人も…」と言うのであれば、スマートフォンの貸し出しや、不慣れな人へ使い方をレクチャーするなど、市は行っているのか。使っていない市民からすれば、不平等な施策だ。

(白川市長)だからこそ、その前段としてプレミアム付き商品券を発行している。私は日頃からすべての市民のメリットを考えている。そのひとつが今回の施策だ。他にもっと良い案があれば、議員からも提案願いたい。

 

市営乗合タクシー運行に関する条例制定についての質疑

中田恭一議員

-今回の条例では初山地区が運行の対象となるが、他地区にも普及していくのか。

(総務部長)公共交通空白地域に住む住民の意見を聞き、初山地区の準備が整い始めた。今後も住民から要望があれば、新たな地区を選定し広げていく。

-市内にはバス路線がない地域がある。ある程度まで、市が基準を示してはどうか。買い物難民などの市民は多い。

(総務部長)対象地区の考え方として、公共交通空白地域を挙げた。この基準は、半径500㍍以内の範囲にバス停が無いなど。

山口議員

-通院目的が主な利用になるのか。

(総務部長)初山地区では住民の要望により、登録した人の自宅周辺から終点の壱岐病院まで運行するように決めた。病院以外での乗降など、支障がなければ運用の検討もしている。

-例えば、沼津地区の住民が壱岐病院から初山まで乗りたいと希望した場合は乗れるのか。

(総務部長)利用者は登録制であり、そのような乗車はできない。地域住民のみの利用となる。