2023.1.31特定政党への寄付、合法か違法か
市議会1月会議の質疑で驚くべき内容が交わされた。山口欽秀議員は「壱岐クリーンエネルギー株式会社の決算書に99万円の寄付金とあるが、どこに寄付したのか」と問い、市は「60万円は自民党壱岐支部」と説明した。さらに「清和会に4万円の寄付」があったこともわかった。
自民党壱岐支部はその名の通り国政の党でもある自由民主党だ。もう一つの寄付先である清和会とは、自民党の派閥である清和政策研究会のことなのか。通常「安倍派」と言った方がわかりやすいかもしれない。
議案審議で同会の詳細な説明はなかったが、もしも清和会が自民党内の派閥の会であれば、問題はより大きくなる。
同社は第三セクターの経営だ。第三セクターとは国や地方公共団体と民間が合同で出資経営する会社のことで、半官半民の中間的な事業形態となる。税金の投入による起業形態だ。この成り立ちからわかるが、特定の政党に肩入れすることは許されることではないと法で定められている。
第三セクターの会社が選挙区支部などに献金を行うことは政治資金規正法に抵触する恐れがある。同法は自治体の出資や補助を受ける会社が、その自治体の選挙の候補者を支持する政治団体に寄付することを禁止している。今回わかった寄付は、選挙区内の事業者が選挙区の支部に寄付していることから、抵触の可能性への疑念は深まる。
市議会での質疑では、一人の議員が一つの項目について質問は3回までと定められていることから、市と議員のやり取りは中途半端なままに終わった。もしも、このまま質疑が継続されていたならば、詳細や寄付の経緯がわかったかもしれない。質問3回ルールの縛りが悩ましいと思えるやり取りだった。
寄付先に関して答弁に誤りがあるかもしれないと考え、念のために自民党壱岐支部の令和3年度収支決算書に目を通した。報告書には、令和3年10月8日付けで、同社から60万円の寄付額が記載されていた。報告書への記載があるということは寄付先は事実だった。法的に何ら問題がなかったのだろうか。この辺りは法律の専門家でなければわからないが。
市議会終了後、質問の意図を知るため山口議員に話を聞いた。「当初は、役員構成や会社所在地などナカハラグループと同社との関係性を問おうと思った。しかし、寄付先の質問で予想外の答弁があった。第三セクターとして特定の党への寄付がまかり通るものなのか。一部のチカラある人達のみに施策が集中する本市のあり方に、間違いはないのか」と苦言を呈した。
現在、市議会での質疑が交わされたばかりの状況で、今後は寄付行為が正当か不当かが問われることになろう。可否の判断は法の中に示されているはずだ。