2019.11.19極端な依存は危険を伴う
対馬市の話になるが、日韓関係悪化によるあおりを受け韓国人観光客の激減に直面している。多い時には1日3000人の韓国人が訪れていたのが、今夏以降は大幅な減少となり、経済損失は甚大だ。
この危機的状況から対馬市の比田勝尚喜市長らは9月12日、長崎県庁で中村法道知事に対し、観光業者に対する資金繰り対策や国内観光客誘致の支援を要望した。これを受けて中村知事は、国内誘客を支援していくための追加補正予算案を提出する考えを示している。
昨年の対馬市の韓国人観光客数は約41万人が訪れ、今年6月までは前年比から1割増だった。しかし、7月以降からの日韓関係悪化により、7月は4割減、8月には8割減にまで落ちたと言う。日韓関係の悪化が要因だが、国の政策により、一自治体がここまで壊滅的な影響を被るとは誰も予想していなかったのではなかろうか。
対馬市は韓国釜山(プサン)市との距離の近さや交通便の良さ、インバウンド政策から徐々に韓国人誘致に依存していった。一部地域は韓国企業などによる不動産取得やホテル事業、北部の比田勝港周辺では、ハングル文字看板の店が並ぶ。本市と対馬市は距離も近い。しかし対馬市の方がより韓国に近いことから多くの誘致につながり、経済依存に繋がった。隣島でありながら、経済基盤は大きく違う。
本市や対馬市など国内全域から見ても小さな自治体は、一国や一個人のみからの投資や誘客、不動産買占めなどバランスを欠いた依存はもろさが出てくる。経済的にも微弱な離島にもうけ話や金銭のばらまきに近い行為があれば、なおさら依存は深まる。
対馬市の例とはかけ離れた話にはなるが、突発的なもうけ話や金銭のばらまきには十分に注意したい。うまい話には裏があるとよく言われるが、ちょっとしたことから取り返しのつかない将来を招くこともある。対馬市の場合も、もうけになるからと海外資本に依存してしまった結果が今に現れているように思える。
本市では、幸いにして日韓関係悪化からの経済的な影響はほとんどない。しかし、別件で身近には極端な不動産売買の話や、多額の金銭授受による地域トラブルを聞く。対馬市の現状から見れば微々たるものだが、本市の一部地域や市民間に起きている金銭的依存の先には何が起きるのか、十分に考えていくべきだ。(大野英治)