2019.11.25弁天崎公園が一大イベント会場に

未来を見据えた本市の取り組みを間近で知るSDGs未来都市イベントを開催

 

 「持続可能な開発目標(SDGs)」をテーマにした初のイベント「SDGs WEEKEND IKI COLORs」が16日、郷ノ浦町の弁天崎公園で開催された。本市は昨年6月に全国離島では初のSDGs未来都市モデル事業に選定されている。取り組む事業は主に経済や環境、教育などの大枠が示されているが、SDGsの世界観を体験することで、市民に興味や関心をこれまで以上に深めてもらいたいとの目的からイベント開催につながった。会場ではトークセッションや音楽ライブ、最新技術の紹介や、島内外から人気店が出店するなど多彩な催しが行われた。

 

 SDGsは、2015(平成27)年に国連サミットで採択された地球規模の問題を考える国際的な取り組み。主に経済(雇用や経済成長など)・社会(医療、福祉、教育など)・環境(クリーンエネルギーや地球温暖化問題など)の3つの側面から17項目の目標を掲げ解決していこうというもの。本市は、昨年6月に、国からSDGs未来都市モデル事業に選定された。

 本市では、市民の声を市政が柔軟に対応しながら、広く参加できる対話型の構築を目指している。また、最新の技術や人工知能技術のAI、身の回りのあらゆるものがインターネットにつながるIoTなどを活用し、日常の暮らしの中に取り入れながら皆で持続可能な「誰一人取り残さない」壱岐の未来を作っていくことを描いている。

 このことから、イベントの趣旨やSDGsの理解を深める狙いのトークセッションでは、本市の新しい取り組みや可能性について3部構成で討論した。

 

 トークセッション1部では、事業の中心的な役割を果たす自治体の首長として白川博一市長と、企業の代表として富士ゼロックス株式会社の阪本雅司常務が、官民連携の重要性を説明するため登壇した。2部と3部では企業代表者らが、多様化する今後の社会での創造的な働き方や、時間や場所に制限されない働き方について話した。

 1部では、司会進行を努めた一般社団法人壱岐みらい創りサイトの高下徳広氏が「自治体のSDGs未来都市へのハードルは高い。なぜ本市が同事業に名乗りを上げたのか」と問い、白川市長は、一般的な理解は難しいと前置きをし、「皆で力を合わせて、幸せになる取り組みがSDGs未来都市事業と理解している。このことは行政が目指す究極のものだ。そのため、自治体として取り組もうと名乗りを上げた」とし、全国の離島では本市のみがモデル事業の採択を受けていることから、「離島のモデルになるようにしたい」と説明した。

 富士ゼロックスがなぜ、壱岐のSDGs未来都市事業への支援を行っているのかについて、阪本常務が回答。「当社はコピー機や複合機の会社で、紙を扱うビジネスを行なっている。地球温暖化などの観点から、東南アジアなどの地域に木を植えていくなど、SDGsが始まる前から環境活動を進めてきた。壱岐市とは4年前から対話会などで交流があるが、今回、環境などの活動を開始したことから共に事業に取り組むことにした」とし、「壱岐の未来と、子ども達の役に立ちたい思いが最大の理由」と述べた。

 また、阪本常務は「壱岐だからこそできる働き方がある。現在はまだ手探りだが、官民のネットワークが拡大し豊かな社会として全国に発信していけば、ありがたく嬉しい限りだ」と話した。

 両者の今後の取り組みについて、白川市長は「本市はSDGs未来都市事業や気候非常事態宣言などで、全国から視察や研修が訪れている。それは4年前に地方創生の協定を富士ゼロックスと結んだことが発端になる。同社の本市に対する熱い思いがあるからこそ。進化が予想される未来への対応が重要であり、その時に同社の高度なテクノロジーが必要となる」と連携の重要性を強調した。

 阪本常務は「SDGsは難しい言葉が並ぶが、皆が一つになる活動と捉えている。その事業に一端を担わせてもらえることは光栄だ。今後も共に活動を進めていきたい」と話した。