2021.11.09昨年末の二の舞にならぬよう
コロナ禍での苦境が続く事業者らの意見を聞き取るため先月29日、第10回市緊急経済対策会議が開かれた。飲食や観光事業者は、忘年会など年末の宴会シーズンを前に、会合や会食の人数制限を緩和、あるいは撤廃してもらえるよう、白川市長に要望した。
市内酒造業界の話では、七蔵の出荷状況の統計について、今年4~9月の昨年との比較では約20㌫減、一昨年との比較では30㌫減と減り幅が大きかったという。月によっては40㌫減もあり、減少が目立つ。全国に発令された緊急事態宣言の影響や、それに伴う季節ごとの行事や集まりごとの中止が出荷量の減少につながっている。緊急事態宣言の全面解除となった10月以降、徐々にではあるが出荷は回復に向かってはいる。しかし、本格的な回復には到底至っていない。
市は先月11日、防災無線でコロナ対策について告知放送を行い、「県全体として大人数での飲食を控えるようにとある。会合会食は10人未満でお願いしたい」などと呼び掛けた。
飲食店や酒造、観光関係事業者の願いは、なるべく早急に以前のような客足に戻ることが第一にある。経営状況は待ったなしにあることから、冒頭にあるような「会合会食の人数制限の緩和、撤廃」を、同会議の場で白川市長へ打診している。
要望を受けた白川市長は関係事業者へ意見を求めた。事業者らは「この人数では年末の職場の忘年会はできない」「旅館などはコロナにより観光客が大きく減少した。そのような中、市民が宿泊や食事などで利用してもらえたから持ち堪えられた」とし、「国も人数制限の緩和を進めている。本市も何らかの形でできないものか」など訴えた。
白川市長は「絶対的な感染防止対策は難しいが、事業者自らが積極的な防止策を講じていくとの前提があれば」と考えを述べた。そして、「第3者認証制度を多くの店が受け、店独自のルールで感染防止を徹底すること」などの条件を示した。結果的に白川市長の政治判断により、本市は独自で「会合や会食の人数制限撤廃」を決めた。
苦しむ事業者の声を受け、迅速な政治判断は評価したい。しかし、昨年末に市内で起きたように宴会から再び感染拡大とならぬよう。人数制限撤廃の思い切りは、経済回復かコロナ感染かの諸刃の剣とも言える。