2019.8.27必要か不必要かの存在意義の議論もすべき
市議会8月会議で、市ケーブルテレビ指定管理者に関する議案が挙がった。端を発する問題は、現在も同指定管理者として運営している関西ブロードバンド株式会社(以下、関ブロ)の今年3月末までだった指定管理者期間が、関ブロ側から「契約を交わした協定書に疑義がある」として、代理人弁護士を介し市に対して異議を申し立てたもの。協議を今年5月末までにまとめ合意を交わした後、今年度中までに新たな指定管理者となる光ネットワーク株式会社(以下、光ネット)へ業務移行の予定だった。しかし、協議は難航し期限内までに合意に至らず、年度内中までに話がまとまるのかさえも不透明になった。
先が見えない問題を抱えた市ケーブルテレビの運営に関して、市は関ブロに頼らず独自のサービス体制を整えるための議案を上程した。そして、この議案に関わる補正予算が6億6000万円の追加になる。あまりにも多額の補正だ。
市は、「このままでは来年度以降も合意解決が見えず、光ネットでのサービスの開始ができない。市民へ支障ないサービスの提供を考え、運営の再構築を考えねばならなくなった」とする。これが補正理由だ。補正予算約6億円のうち約4億円は、指定管理者への機材貸し出しなどで、回収可能となるようだ。加えて市は「この補正は最悪の場合。関ブロとの早期移行ができる場合は、その限りではない」と説明した。
議案について町田正一議員は「なぜ指定管理者の移行ができないのか、市民に説明をすべき。今後は指定管理者制度の見直しも必要ではないか」と言う。音嶋正吾議員は「施設条例では、管理は市で運営は指定管理者とある。ならばなぜ関ブロは個人情報を出せないのか。また、合併振興基金を取り崩してまで6億6000万円の補正をする。おかしいのではないか」と指摘する。
議論は、市ケーブルテレビの存在意義にまで遡って考えねばならない事態だ。人口約2万6000人規模の本市で、ケーブルテレビを放送するメリットはどれほどのものなのか。番組を楽しみにしている人はいるが、これまでに明確な視聴率は公表されていない。視聴率を確認するためのシステムが備えられていないこともあるが、だからと言って数値を示さなくてもいいという道理はない。出版物は購読者数や発行数があり、テレビ局やラジオも視聴率を公表する。番組が面白くない、ニーズに合わない内容などで、視聴率が低い番組の打ち切りは当然の話だ。
市ケーブルテレビも、義務として視聴率公表はすべきだ。何よりも数億円もの予算を組むのであれば当然であり、無理などの否定は許されない。機材など予算は税金から成り立つものであり、税金であれば、視聴率などの必要なデータは公開すべきだ。そのデータをもとに、ケーブルテレビの存在意義を議論するべきではないのか。求められていないもの、必要とされていないものへの多額の予算計上ほど無駄なものはない。逆に必要であるならば、それもデータでわかるはずだ。是非、市ケーブルテレビについては、明確な調査とデータ公開を求めたい。
極論を言うが、ケーブルテレビがなければ電話やインターネット回線などのみになり、約6億円もの予算計上はなく予算は違ってくる。最低限必要なのは、都会並みの高速データ通信であり、利便性の高いインターネット環境などだ。
さらに、更新のたびに数億円がかかるのであれば、今後も一定期間で同様の予算が必要なのか。その度に基金などを取り崩して対応するのかも疑問が残る。
市と関ブロの協議で、どちらに非があるか判断はできないが、市民を振り回すのだけは止めてもらいたい。二転三転の混乱を招き、多額の予算を組むケーブルテレビの問題。何が必要で何が不必要なのか、一度議論をしてみるべきではないのか。
※本紙記事から追加。現在の放送番組形態から、行政関連放送のみでいいのではとの意見もある。これだけでも予算削減になる。様々な角度から意見を求め議論すべき時期にある。
(大野英治)