2019.7.09再発なきよう明確な責任を取るべき
芦辺中新校舎建設の工期延期に至る経緯や説明を聞き、これは漫画かコントなのかと錯覚する。ただ、生徒や保護者が心待ちにし、期待に胸を膨らませていただけに笑い事では済まされない。そもそもなぜここまで立て続けに延期になってしまったのか。
本紙は、今年2月の段階で工事の遅れに気付き、一面記事で経過とともに、市教委に現況の問いをしている。その時の説明で初めて「現場作業員の人員不足による遅れが生じ、工期の延期を検討している」との旨を述べている。その後、市議会3月会議で正式に工期の延期と繰越明許の申し入れをした。
ただ、今回の教育長の謝罪と説明では、昨年10月の段階ですでに遅れを把握していたという。しかも今年3月5日の工程会議では、計画75㌫に対して実績はわずか20㌫だったことも分かった。素人が考えても、この実績では無理であることは明白だ。なぜ、この状況がわかっていながら、再三に渡る無理な工期延期スケジュールを提示していたのだろうか。本当に、工事現場の意見を聞き入れてスケジュール立てをしていたのか。どこかで現場作業員に対して、無理な工程をごり押しをしていた事実はなかったのか。この部分は今回は説明されていないため、調べていかねばならないと考えている。
新校舎は子ども達のために快適で安全な学び舎を作るために建設する。この中に市教委の顔立てや、建設業者の売り上げなどの大人の事情を入り込ませたため、理不尽な後出しの説明や謝罪、生徒や保護者への期待を裏切る行為になってしまっているのではないか。以前にも書いたが、教育現場の構築に、大人や行政は従であり生徒らが主であらねばならない。この当たり前で単純な理屈がないがしろにされている。
今回、白川市長と久保田教育長は市議会全員協議会で謝罪をし、責任を取ることを表明した。全協は通常の市議会と違い、ケーブルテレビで放送はされず、普段はマスコミも傍聴すら出来ない。しかし、今回は事態の重さから異例の対応でマスコミの入室が許され、ここまでの詳細を知ることができた。
全協での話し合いは我々市民には知らされず、結果だけが本会議で公表される。まさに密室と言っても過言ではない。開かれた行政や議会を目指すのであれば、常に公開とするのがシンプルでわかりやすい。
市長や教育長は、教育行政の責任者だ。特に今回、市教委と教育長が自ら説明と謝罪を行なったことは、これまで過去の事案でだんまりを決め込んでいた事からすれば、大いに評価できる。後は有言実行だ。自らの言葉と立場から責任を取る旨の意味は大きい。公の場での発言は政治家であれば政治生命に関わる。
また、皮肉ではなく本音で言うが、市教委は道徳教育を自ら再認識すべきだ。「嘘はいけない。約束は守る」。そして未だ各校に課している「市内全小中学校と市教委が管理する施設に本紙購読の拒否」の指示は、道徳教育で言うところの「差別・いじめ」になる。
一連は許しがたい行為の連続だ。自らを正す事が今後の良き運営に繋がるのではなかろうか。(大野英治)