2019.2.06住民説明の時期ではないのか

 市ケーブルテレビ指定管理者の来年度以降の動向に、市民から多くの問い合わせがきている。取材時にわかったことだが、市にも同様の問い合せがあるようだ。インターネットやIP電話、ケーブルテレビの番組を視聴している市民は、最も影響を受けてはならない利用者であり、業務移行に伴う犠牲を受けてはならない。

 ある市民も「春から本当にインターネットやアドレスは使えるのか。テレビはどうなるのか」などと話し、不安の声が絶えない。また「こんなことならインターネットアドレスも、以前のままNTTなどの他社にしておけばよかった。市が絡んでいる運営だから安心して契約をしていたのに」と後悔を訴える声もある。さらには「市と指定管理者の話し合いなのに、なぜ市民にツケが回ろうとしているのか。市民はまるで人質にあっているかの状況だ」との厳しい声もあった。

 

 そもそもなぜ、このような指定管理者移行に伴う混乱が起きてしまったのか、疑問でならない。次期指定管理者公募の段階で、ありとあらゆる可能性を考えスムーズな移行をすべきところに、どこかに確認事項や新旧指定管理者との調整に甘さがなかったのか。例えば「おそらく移行は大丈夫だろう。双方ともに市の意向に無条件で応じるはず」とし、市議会報告や両社調整時に、根拠なき憶測で説明してきてはいまいか。それが積み重ねになり、にっちもさっちもいかない状況になってしまったのが現在ではないのか。さらに業務規約を記載した協定書絶対至上主義にも陥っていなかったか。

 

 市ケーブルテレビ開局当初、指定管理者と市は業務契約として協定書を確認している。その内容に沿うならば、市が現指定管理者に求めている「機材や情報等、いっさいの業務譲渡」は当然の要求だ。しかし現指定管理者からすれば、社の予算を費やしてここまで形にしてきた独自業務とノウハウ、さらに営業努力によって伸ばしてきた顧客データの権利を主張するのは当然だ。しかも身銭を切りながら本市の中で切り開いてきたサービスが、明確な理由がないまま8人の指定管理者選定委員で決められ、無条件に譲渡を要求されることに納得がいかない気持ちもわかる。

 現在は、市と現指定管理者の弁護士による話し合いで、なんとか解決しようとしてはいる。しかし現状から見る限り、話し合いは平行線をたどってしまっているようだ。一部市民の噂では、裁判による解決しかないとの声さえある。しかし裁判となれば、数日や数ヶ月で解決するものではなくなる。最悪は数年に及ぶ可能性も考えねばならない。ただ幸いなことに、現段階で裁判の考えはないという。

 

 これまで同様に繰り返すが、焦点は「協定書と民法の有効性」だ。市は協定書に基づく主張をし、現指定管理者は民法に基づく主張をする。今後の話し合いの解決方向は、おそらく市が要求していた業務にかかる機材等の譲渡を有償譲渡にしての、金銭的解決になるのではないか。しかしその場合、誰が費用を出すのか。市か、新指定管理者か。どちらにしても市民サービスへの影響と、税金が投入される事態だけは避けてもらいたい。また市は、この事態に対して市民へ明確な説明をせねばならない時期にあることも理解願いたい。新体制となる4月まで2ヶ月を切っている。(大野英治)