2019.5.21イルカの死の原因究明を
今年のゴールデンウィークは平成から令和に変わる節目とともに、大型10連休も重なり、多くの観光客が全国各地に押し寄せた。本市の場合も同様に多くの観光客が来島し、様々なイベントや観光地に足を運ぶ姿があり、大きな盛り上がりを見せた。
しかし、一方で観光客や地元の住民から本紙に厳しい指摘の声も届いた。一つには岳の辻第二展望台の木造床面の劣化により、釘が抜け床面の板が浮いている状況の報告だ。さらに別の情報者からは、頂上付近展望所に向かう歩道側面の手すりが腐り、危険な状態であるとの指摘もあった。年配者などは展望所までの坂道で、体を支えながら登ることもあるが、その際に手すりが倒れてしまう危険がある。岳の辻は島を代表する景勝地であり、これからのシーズンに多くの観光者が訪れる地なので、早急な対処をすべきだ。
また、新たにリニューアルしたイルカパークは、連日多くの来場者が訪れにぎわいを見せた。しかし、盛大なオープンとは裏腹に、いくつか問題の指摘が寄せられた。当紙に直接届いた指摘もあるが、記者が過去に発行していた島内情報誌の電話にも指摘の声が寄せられた。
イルカパークはゴールデンウィークに合わせたオープンで、この時期にできる限りの来園者を迎え入れるはずだった。しかし、連休真っ只中の3日、急きょ、臨時休業した。事前の告知も行き届かず、島内観光施設や当紙および情報誌宛の電話にも「せっかく楽しみにしてきたのに休業だった。理由はなにか。どこかで告知していたのか」というもの。せっかく訪れたお目当の観光地の休業に困惑する声だった。
理由は後日わかったが、園内イルカの1頭がオープンからわずか約1週間で、原因不明により死んでしまったという。先月末のプレオープン時には元気な姿を披露していたことから、来園者によるストレスが負担をかけてしまったのか、あるいは他の原因なのか現在はわからない。また、同園指定管理者の高田佳岳代表のフェイスブックには「イルカが死ぬ前日夜、閉園後に人が侵入した形跡があった。また休園中と書いてあっても門を開けて侵入する人や、脇の藪から入る地元の人もいる。因果関係は不明だが、大きな違和感がある」と書き記している。
これが事実ならば大変なことだ。セキュリティの不備は今後の検討材料だが、もしも悪意ある人らの侵入によるイルカの死となれば、フェイスブックの書き込みだけの次元ではない。園代表者が公に発した言葉であり、根拠なく発するはずはない。事実ならば捜査機関の協力のもと、調べていくべきだ。多角的に原因を究明せねば、今後も繰り返しイルカの死が起こりかねない。
イルカパークは約15年前にもイルカと触れ合うメニューがあったが、イルカが弱ることなどが問題となった。結果として園はメニューを見直し、徐々に来場者は減少していった。そういうことから、同じ結果は繰り返してはならない。
今回のリニューアルには多くの市の予算が投入されている。また、これまでにもイルカ購入に予算がつぎ込まれている。「イルカが弱ったから。死んだから」といって、そう簡単に新たなイルカを購入するわけにはいかない。市の予算は我々からの税金になる。今回の事案は、きっちりとした原因究明と対処方法を示していかねばならない。(大野英治)