2020.7.28なぜ除外なのか明確な説明を
新型コロナ感染症の第2波が懸念される今、国は各地の観光業の消費喚起策「GoToキャンペーン」を22日から始めた。しかし、全国の感染者数を見れば、この状況で多くの人が移動する同キャンペーンを実施してもいいものか疑問が募る。
このまま継続していくのならば、各観光地などでは不特定多数の観光客を迎え入れるため、感染防止策を徹底せねば安心できるものではない。赤羽国土交通大臣は14日の記者会見で「感染が拡大する中、事業の進め方について、様々な心配や懸念の声も寄せられており、参加する事業者と旅行者の双方が、互いに着実な感染拡大防止策を講じることが求められている。安全安心を第一に、対策をしっかりと行っていきたい」と述べている。要するに、事業者と観光客に対策を丸投げしていると言うことだ。「感染防止策は各自でやれ」と受け取れる。
県は先月15日から「新しい生活様式対応支援補助金」として、客と接する機会が多い中小企業や小規模事業者などに対し、感染対策防止策に必要な経費を1事業者あたり10万円の支援を始めた。この流れから、市でも14日の市議会7月会議で、「新しい生活様式対応加速化支援金」として、県とは別に4900万円の補正予算を可決した。内容は、県と同様に事業者への感染防止にかかる経費を、1事業者あたり最大10万円を支給するもの。
しかし、県の支援とは違い本市の場合、5月に実施した飲食店や宿泊施設への緊急経済対策で30万円などの支給を受けた事業者は除外するという。なぜなのか。理由が全くわからない。そもそも支給は、コロナ禍で売上げが激減した事業者へ「家賃や雇用維持」など、経営を支えるための支援金であったはずだ。そして、今回の新しい生活様式による支援金は「来客による感染防止策」の推進が目的。全く中身が違うものなのだ。
県が同支援金を発表した後、6月16日の市議会6月会議一般質問で、植村圭司議員は「県の支援金とは別に市独自の策はあるのか」と問い、企画振興部長は「独自の上乗せ補助を考えている。これまで支援できなかった職種への支援が可能になる。検討中だ」と述べている。そして7月議会での検討結果は先に述べた通り、幅広い職種への支援が行われることになったが、まさか前回支援を受けた飲食店や宿泊施設が除外されると誰が想像できただろうか。
市議会後、当紙宛に市内飲食店から意見が届いた。「GoToキャンペーンが始まり、来島者を受け入れる飲食や宿は最も感染防止策をせねばならない。県と市の支援に期待し、キャンペーンが始まる22日までにと対策を急いだ。かかった経費は、県と市の支援金併用で賄えるはずだった。しかし、市は除外するという。苦しい経営状況の中、半分は自腹で感染防止策をしなければならなくなった」と言う。
市に問いたい。なぜ前回支援金を受けた飲食店や宿泊施設の事業者は感染防止策から除外なのか。中身が違うのに、なぜ同じ支援金のように関連付けしたのか。民間事業者の苦しみや声がきちんと届いているのか。机上で数字をはじき出すだけの仕事に終始しているのではないか。そう思われても仕方がないと自覚することが必要と思うが。(大野英治)