2020.7.28「洋上風力発電」検討へ

市が目指す再生可能エネルギー導入に「洋上風力発電」の案

 

 市再生可能エネルギー導入促進期成会の立ち上げにより、本市が目指している火力や原子力に頼らない脱炭素化への電力導入の最終的な考えが見えてきた。市は、平成30年度からRE水素システムの導入計画など進めているが、これとは別に本市沖で大規模な洋上風力発電導入の考えがあることがわかった。

 

 市民団体などが主導の市再生可能エネルギー導入促進期成会(鵜瀬守会長)の立ち上げは、水素による発電などで市が進める脱炭素社会の実現を後押しするもの。その中で、将来的に市が目指している再生可能エネルギー実現の本丸と考えられる事業として、本市周辺海域での大規模な洋上風力発電の導入を促進する考えがあることが、関係者への取材でわかった。

 市は、昨年9月に全国自治体に先駆けて気候非常事態宣言を表明し、平成30年度には「水素・再生可能エネルギー導入ビジョン」を策定、翌年度には「RE水素システム実証試験」の調査研究を推進していくなど、地球温暖化の原因とも考えられる二酸化炭素排出量の実質ゼロを、2050年までに目指す決意を示している。

 導入を推進する市は、水素を使った発電システム実現に向けての調査設計や、市民と企業への理解を図る啓発活動として、平成30年度に1970万円の補助予算を決めた。また、翌年度には同システムの調査研究のため、民間企業との連携で陸上養殖施設に実証試験機を導入し、全国離島モデルとしての実用化を目指すため、2億3890

万2千円の補助予算を組む。

 本県周辺海域は、洋上風力発電の適地とされ、すでに五島市沖では浮体式洋上風力発電の実証事業として商用運転が行われている。このことから、五島市沖は再生エネルギー海域利用法に基づく、促進区域に指定される。

 本市の場合、浮体式とは別に着床式の可能性もある。本市周辺では、芦辺町の東側など水深50㍍以内の海域があるためだ。さらに、今後の調査にはなるが、藻場や漁場の回復が見込まれるとの考えがある。雇用などの経済効果も生まれそうだ。一方で、景観への配慮や生態系への影響も考えられる。今後、本格的に計画を進めていく場合、期成会での意見交換や漁業者、関係機関との協議が必要だ。