2025.11.04議員定数の議論を始めるべし

 市議会議員定数案は、前回、前々回の市議選のたびに議論が上がってきた。一方で、市議会は定数16を守り続け、現在に至っている。市議会の判断とは裏腹に、市民の「定数を減らすべき」という声は決して少なくはない。現在、国会は自民党と維新の連立政権合意により、今年中に衆議院定数削減の実現を掲げた。政治改革の名の下、身を切る覚悟を示した。そうした中、市議会はどう判断し、どのように議論を重ねていくのか。すでに8月以降、新たな市議会は始まっている。いつ、議員定数に関する議論を始めるのか。それは「今」ではないのか。よって、市議会議員定数に関する議論開始を提言する。

 

「今」こそ議論開始の時期

 世間では今、議員定数削減についての案が持ち上がっている。自民党と日本維新の会の党首が20日に署名した連立政権合意書により、維新が連立の絶対条件に掲げていた衆院議員定数削減案が大きく動き出した。本市でも以前から市議会議員定数削減の話が上がる。

 7月にあった市議会議員選挙は、現状のまま定数16で行われたが、市議選前の2月会議でも、議員定数削減案の発議があったことは記憶に新しい。市議会は定数削減案が上がるその都度、「選挙前の定数削減案は、適切な時期とは言えない。事前に話し合うべき」という旨の回答を示していた。今は選挙後すぐの時期。議員諸氏が本当に検討する意思があるのであれば、今から議論を始めてもいいのではないか。

 国会では、自民と維新の連立政権合意書12項目「政治改革」に、「1割を目標に衆院議員定数を削減するため、25年臨時国会において議員立法案を提出し、成立を目指す」と記されている。この合意に野党からの反発もあるが、ほぼ削減の方向に進んでいくことは間違いなかろう。

 市議会議員の定数削減案は本市においても議論が進められてきたが、議会は現状維持とすることを決定として現在に至っている。以下に、当紙7月11日発行号で掲載した議員定数削減案の経緯を一部再掲し、各議員が考えている定数案を振り返る。

過去の議員定数削減案の議論と経緯

 2005年8月7日、市議選の定数26に対し候補者40人。09年8月2日、定数20に対し候補者21人。13年7月21日、定数16に対し候補者20人。17年7月30日、定数16に対し候補者20人。21年8月1日、定数16に対し候補者21人。そして今回は定数16に対し候補予定者18人。

 過去の人口の推移は、05年3万1414人、10年2万9377人、15年2万7103人、 20年2万4948人。5月末時点で2万3432人。明らかに減少化が進んでいる。

 議員定数削減案はこの4年間で3回、市議会で議論の機会があった。2021年6月、前回市議選前の6月会議で、植村圭司議員は定数14人とする発議をした。「年平均約440人の人口減少がある。議員の仕事も市民の税金によって成り立っている。市民との痛み分けではないが、議会改革も考えねばならない」が理由だった。

 採決では、議長を除き賛成5議員(植村圭司、町田正一、音嶋正吾、牧永護、山川忠久)、反対10議員(山内豊、小金丸益明、赤木貴尚、久保田恒憲、市山繁、中原正博、土谷勇二、清水修、中田恭一、鵜瀬和博)で否決だった。

 否決の理由には「事前に議会内で話し合いがない。議会で議論をして納得した上で発議すべき」などだった。

 2022年、市議会は議会改革特別委員会を開き、議員定数削減を議論したが「定数はこれまで通り」と判断した。理由は「多様な住民意思を市政に反映させるという、議会の根本的な機能を維持向上させるためには、現定数が必要である」だった。

 市議会2月会議で、松本順子議員の発議で再び議員定数削減案があがった。「適正な議員定数の議論を求めたい。全国の類似自治体の例と比較しても14人が妥当」と提案した。

 定数削減の理由として「市の人口は年々減り続けている。市の財政不安の中、市民の負担ばかりが増え続ける一方、昨年4月からは議員の給料が月2万円増額され、政務活動費の支給も加わり議会費が膨らんでいる。市民からの理解を得られるものではない」と述べた。

 しかし、議会の判断は再び、定数削減案否決だった。議長を除く議員15人は、議員定数削減に賛成は7人(松本順子、樋口伊久麿、音嶋正吾、植村圭司、山川忠久、武原由里子、赤木貴尚)。反対は8人(山内豊、中原正博、豊坂敏文、中田恭一、市山繁、山口欽秀、清水修、土谷勇二)。反対意見は「市民への周知や議論の時間が必要。議員が減れば民意が生かされない」とした。

 ――過去の市議会を振り返り、議員定数削減に反対する主な議員の意見は「事前に議会内で話し合いがない。議会で議論をして納得した上のこと」「市民の声を市政に反映できなくなる」「民意が生かされない」「市民への周知や議論の時間が必要」などだった。

 定数削減の議論は市議選前がだめならば、今から市民に周知し、民意を確認し、議論を始めるのが適切ではないだろうか。市議会が自発的に始めることを望む。