2018.9.11空港滑走路延長など再検討

 昨年4月施行の国境離島新法を活用することで、本市の活性化に繋げていく為の「市国境離島新法制定民間会議総会」を先月29日に開催。その中で壱岐空港の整備等について協議を行う「空港整備促進期成会」が発足した。白川博一市長は平成29年7月の市国境離島新法協議会総会の席で「滑走路延長を検討し、要望を行う組織を国境離島新法協議会の構成員を中心にできないか」と期成会の立ち上げを提案。同年8月にも同民間会議総会の席で「滑走路延長の必要の声を地元から上げてほしい。期成会を作りたい」と提案し、協議会と民間会議は了承に至り、期成会発足となった。

 期成会は、オリエンタルエアブリッジ(以下・ORC)が運航する現航空機ダッシュエイトQ200型機が製造中止となることから、2020年以降に現行機より大型のQ400型機の導入を含めた航空路維持の考えを検討していく。
 ORCはQ400型機導入の考えと共に、Q200型機の中古機導入も視野に入れて後継機の検討を進めている。しかし確定には至っていないことから、期成会は両機を比較し空路維持のための勉強会を開き、いずれは要望活動に繋げる。
 ORCによれば、Q200型機の中古機導入であれば壱岐空港は現状のまま使用できるが、製造中止の型機のため先々の故障時の修理やメンテナンスなど耐用年数に不安が残る。一方、現在も製造されるQ400型機導入は、乗客定員74人、貨物室の最大制限重量633㌕を搭載して就航する場合、Q200型機で就航が可能だった現滑走路の長さは1200㍍から1500㍍と300㍍の延長、滑走路幅は現30㍍から45㍍の15㍍拡幅しなければならない。さらに配置すべき消防車両も現在の1台から2台に変更する必要がある。
 仮にQ400型機を現滑走路の1200㍍のままで就航した場合には、搭乗者数を27人に制限しなければ航行できない。
 現在のままでは現行機Q200型機は耐用年数を迎え、本市の空路維持に危機感が募る。しかしQ400型機の場合は滑走路の延長や拡幅など、大幅な工事が必要となり、さらに周辺住民の意向や景観への影響が懸念される事態となる。ある委員は「どちらの結論にしても難しい問題」と頭を抱える。

「県知事は厳しい判断を示す」
 壱岐空港滑走路の延長案については、昨年と一昨年に市から県知事に対し空港整備についての要望書を提出、その中に滑走路延長の要望を盛り込んだ。しかし県知事は「空港整備には莫大な費用がかかる。費用対効果で現状では厳しい」と返答。また「他地区で就航している航空機のATR機は、壱岐空港よりも短い滑走路で運航している例もある」と述べている。
 期成会で山本啓介県議は「県知事は要望に対して採算が合わないと言っていたが、それは行政側ではなくORC側が考えるべきこと」と県知事の考えに異を唱えた。
 ORCによると新機導入の場合、ANA系列のQ400型機が有望という。その理由はJAL系列のATR機は1000㍍以内の滑走路でも就航可能になるが、パイロットの育成の費用などで約8億円の予算と数年の育成時間を要するためとしている。Q400型機の場合、滑走路延長など空港整備費は100億円以上の試算で、県知事が述べたように莫大な予算が必要になる。また国土交通省は「空港の設置及び管理に関する基本方針」の中で、空港新設を抑制するよう方針を打ち出している。