2024.7.09核のゴミ最終処分場設置に反対
議員発議、佐賀県玄海町へ「核のゴミ最終処分場にしないことを求める意見書」を提出
市議会定例会6月会議の先月28日、市議会は佐賀県玄海町に対し、高レベル放射性廃棄物の最終処分場にしないことを求める意見書(提出者、植村圭司議員)を提出することを、全会一致で採択した。意見書には「漁業や観光業など本市の産業と経済に与える風評被害は計り知れない」と影響を危惧している。市議会は同町に対し、高レベル放射性廃棄物最終処分場を設置しないことや、概要調査を行わないことなど、3項目の要望をまとめた。
玄海原子力発電所がある同町は5月10日、「高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定の文献調査を受け入れる」と表明した。処分地の選定に向けた調査は3段階で行われ、6月10日には調査の第1段階にあたる文献調査が始まった。
原子力発電所の使用済み核燃料を再処理する過程でできる、高レベル放射性廃棄物いわゆる「核のゴミ」は、長期間強い放射線を出し続けることから、地下300㍍以上深くに埋めて最終処分することが法律で定められている。国は、2020年度の段階で約1万9千㌧あると公表し、地下の岩盤内に「地層処分施設」を設置し、今後数万年以上かけて管理していく計画となっている。
この状況に、市議会は「我が国は地質学的に、複数のプレートが複雑にひしめきあう世界有数の地震大国である。未知の活断層に起因した大地震によって、大きな被害を受けた事例が多数あることも忘れてはならない。この地震大国日本で、長期間にわたり安定的に安全に『核のゴミ』を保管できるかについては、明確な回答が示されていないのが現状だ」と危機感を募らせる。
さらに「本市と海を挟んで、目と鼻の先に地層処分施設設置の可能性が出てきたことに、市民は率直に、大変困惑している。いまだ『核のゴミ』を安全に保管しておく技術が確立されていない中、市民の安心・安全な暮らしが大きく影響を受けることは必至。本市と玄海町の間の宝の海を活用して、生業をなす漁業や観光業など、本市の産業、経済に与える風評被害の影響は計り知れないものがある」などを理由として「本市議会としては、玄海町に高レベル放射性廃棄物処分場が設置されることは、到底容認できない」と設置反対の意を示した。
市議会は、佐賀県知事と玄海町町長に対し、①佐賀県玄海町に、高レベル放射性廃棄物最終処分場を設置しないこと②佐賀県玄海町において、高レベル放射性廃棄物の最終処分に関わる、概要調査を行わないこと③原子力発電行政については、当該自治体のみでなく、周辺自治体への影響も考慮した判断をしていくこと-とした意見書を提出し、「3事項について確実に実行するよう強く要望する」と申し入れを行う。