2024.7.02市施設工事の未執行に疑義

補正と当初予算の二重計上、市は「懈怠があった」として弁明と謝罪

 

 市議会定例会6月会議の18日、議案審議で複数の市議が昨年度3月31日の一般会計補正予算の専決処分に異議を唱えた。問題となるのは、勝本町ふれあいセンターかざはやの1873万6千円と、芦辺クオリティライフセンターつばさの2572万円の減額補正予算について。両施設は昨年度までに非常用発電機や受変電設備、貯水槽、特別浴室の改修工事が見込まれていたが、市職員による事務処理の懈怠(けたい・怠り)があり、工事は未執行となった。市議会は「同予算を含む当初予算の可決後、昨年度の補正予算を今議会で減額補正した。二重計上であり、手続きの順序が逆だ」と意見した。

 市は、市議会6月会議で今年度中に速やかな工事を進めるため、同予算の専決処分を上程した。しかし、同工事の予算は昨年度予算に計上されたまま、今年度当初予算に計上するという、いわば二重計上にあたることがわかった。さらに市議からは「今議会の13日まで、市議会への報告と説明がなかった」「4月の懲戒処分報告の文書のみで、予算に関する説明がなかった」など、複数の疑義が浮かび上がってきた。

 昨年度中の減額ではなく専決補正とした理由について、市民部長は「設計などが3月に執行中であったため、年度末まで事業費が確定できなかったこと、少しでも事業を進捗させておきたいという理由で、予算の減額をせず年度末まで事業に取り組むため、今回のような対応となった」と説明した。

 今年度当初予算に計上していた理由では「施設の指定管理事業者との協議の上、未執行となった工事の対応は継続事業として年度開始後、速やかに事業に着手し、影響を最小限とするため、今年度の当初予算に計上した」と述べた。

 これまで市議会への説明不備については「3月会議での予算特別委員会などでの説明が不十分だったこと、4月の懲戒処分発表後に予算に関する説明ができていないことは、意図したものではないが、市として今回のような事案の経験がなく、今議会での説明となった」とし、市議会で謝罪した。

 篠原一生市長は「市職員による業務の懈怠は、あってはならないことであり、誠に遺憾なこと。市民、市政の信頼を著しく損なうもの。同様の事案が再発しないよう、職員への指導に合わせ進捗管理の徹底など、市役所全体で取り組み、市民への信頼回復に向け鋭意努力する」と述べ、市長ほか執行部は頭を下げ陳謝した。

 両施設の工事は、昨年度の市一般会計当初予算の事業として計上されていた。しかし、担当職員の事務処理の遅れにより予定通りの着工が年度内に進まず、工事に係る予算が未執行となる事案が起きた。

 この事案に関して、白川博一前市長は4月9日付で原因となった50代の男性市職員1人を「施設改修工事に係る事務処理の懈怠があった」とし懲戒処分に処し、管理監督責任として上司1人を訓告した。

 

主な質疑

 

山口欽秀議員

 懈怠があったというだけで済まされる問題ではない。なぜ昨年度中に修正しなかったのか。副市長、市長へ報告していると言うが、是正しなかった。先に減額補正予算をやって、その後に当初予算に乗せるのが通常だ。手順が逆ではないか。

(市民部長)昨年9月以降、状況を市長と副市長には報告した。財政課は状況を把握しており、指摘と指示を受けていた。結果的に懈怠による未執行事案であり、本議会初日に反省の弁を述べた。

 

植村圭司議員

 工事の怠り、議会への説明不備と2つの懈怠があった。市長は、進捗管理の不備、未執行に至った懈怠に対する謝罪をした。しかし、議会への説明がなかったことも十分に認識してもらいたい。執行部は説明がないまま3月会議で当初予算を通してきた。本来は昨年度の事業であり、昨年度の予算の時に説明すべきだが、なかったままになっている。

 早い段階で、市長と市は説明責任を果たすべきだった。市長には改めて説明責任を果たさなかったことに対する認識を持ってもらいたい。

(篠原市長)

 議会へ説明する必要があった。議会軽視になることがないよう、改めて謝罪したい。

武原由里子議員

 事務処理の懈怠という説明、謝罪があったが、今回の事案は前市長が同意した上での当初予算だった。4月9日付けの職員の懲戒処分公表という文書で報告を受けたのみだが、前市長にも説明責任があったのではないか。

(篠原市長)

 前市長の説明責任の必要はあったと思うが、それを含めて私や執行部の謝罪だと考えている。これまでになかった事案であり、手続きなどもこれまでとは違った形になってしまった。

 前市長の説明責任は果たしていくべきだと思っている。