2019.10.08国内自治体で初「気候非常事態」を宣言

気候変動の非常事態を市民へ周知、国や他自治体と連携を呼び掛ける

 

市は先月25日、全国自治体に先駆けて気候非常事態宣言を発表した。単独の自治体や団体などが国内で宣言した前例はなく、本市が初めて。同宣言は、気候変動による影響が甚大であることを認識し宣言するもので、世界中の国や自治体、学校、団体などに急速に広がっている。宣言した自治体は、先月25日時点で世界では1042にのぼる。本市は昨年、SDGs未来都市・同モデル事業に選定された。宣言では「2050年までに、市内で利用するエネルギーを、化石燃料から太陽光や風力などの地域資源に由来する再生可能エネルギーに完全移行」などを目標に掲げ、環境に重点を置いた未来像を推進している。

 

 「気候非常事態宣言」とは、地球温暖化が人間社会と自然環境を危機的状況に追い込んでいるということを認識し、問題解決に向けた活動に社会全体で取り組んでいくという意思を示すもの。9月末時点で、国内で宣言した自治体はなく、本市が初となる。

 宣言では、ごみの発生や抑制、処理などを市民への周知啓発で共に取り組んでいくことや、2050年までに、太陽光や風力などの地域資源に由来する再生可能エネルギーに完全移行することで、CO2削減に向けた意欲的な行動目標を立てるなど、4項目を掲げている(別表に記載)。

 同宣言は、市議会9月会議で白川博一市長による行政報告で方針が示されていた。行政報告には「猛暑、台風、集中豪雨、洪水などの気象災害により痛ましい被害が発生し、本市においても、集中豪雨や水不足などの異常事態が発生している。また、藻場の減少等により、基幹産業である漁業も深刻な影響を受けている。このような状況から、地球温暖化に起因する気候変動が人間社会や自然環境にとって著しい脅威となっていることを認識するとともに、温暖化防止のための脱炭素化の実現に向けて取り組む」とする。

 また、市議会は同会議で宣言の取り組みを全会一致で可決した。

 本市では2年前に記録的な豪雨のため、冠水や家屋倒壊、土砂災害の被害に見舞われた。また、今年8月にも「50年に一度の記録的な大雨」と言われる豪雨が発生した。豪雨被害を目にした市民も「気候による自然災害は、当たり前に起こるものだと考えを切り替えなければ対応できない」と話す。

 気候変動への注目が国内でも高まる中、全国に先駆けた「気候非常事態宣言」は、今後は国内他自治体に波及していくものと思われる。