2019.12.03健診センター建設用地の審議再開か

用地選定はどこか、新センター建設は必要か、審議せず来年以降に持ち越しかに注目

 

 市議会12月会議で、健診センター建設用地について再審議の見通しが見えてきた。同センター建設のための用地選定は、今年3月の市議会上程の今年度市一般会計予算に組み込まれていたが、市による用地購入などの説明不足を理由に採決を見合わせ、事実上の凍結となっている。地質調査費に880万円かかることや、現在所有の市地活用をせず、新たな土地購入への疑問、選定した用地が産業廃棄物処理場だったことから適性さなどが問題となった。3月の凍結以降、約9か月にわたり保留になっていた審議に、市民からは疑問の声が上っていた。

 

 来月4日から始まる市議会12月会議の総務文教厚生常任委員会の中で、健診センター建設用地の審議が再開される見通しであることが、健康増進課への取材(25日付)でわかった。

 今年3月、壱岐病院周辺にある空き地を同センター建設の用地とするため、市は土地購入と地質調査などにかかる予算を上程したが、市議会は「用地購入の理由など説明が足りない」として審議を凍結していた。

 3月会議で、市は検診センター建設事業として4464万4000円の予算を計上していた。事業内容を、建設用地整備費とする4815㎡の土地購入費や測量委託費、土壌汚染調査委託費など用地取得に関する予算だ。市が説明した事業目的は「現在、母子健診や介護予防事業を実施している会場の借上げが難しくなっており、新たな実施場所が必要となっている。体制の充実を図るため、健康増進事業や介護予防事業などの活動拠点とし、市民が安心して利用しやすい施設とする」と説明していた。

 市議会は、市有地を活用した建設ではなく、同センター建設のためになぜ新規に土地購入が必要なのかなど疑問を投げかけた。また、土壌汚染調査委託費の内容について「地質調査費用に880万円をかけてまで同地に建設する必要があるのか」と言及した。さらに「同地は以前まで、産業廃棄物処理業者が利用していた。適切な用地なのか」など適正さを問う意見もあった。

 3月議会では、「来年度(令和元年度)の一般会計予算であり、この一点の理由で他も可決しないわけにはいかない。同議案のみ保留にできないか」と提案し、白川博一市長は「凍結する」と判断し、現在に至る。また、総括した予算特別委員会意見は「予算については今後、議会に対して説明を行い、議会の了承を得た上で執行すること」と条件付けた。

 3月議会で市が提示した同センター用地は、産廃物処理場の土地だったことからの適正さや、そのために発生する調査費の必要性、市有地活用ではなく新規購入の不透明さなど、説明不足が露呈した。

 市民の中には「健診は、各病院や壱岐の島ホールなど定期的にまわってくる場所に行くのが一般的。多額の建設費をかけてまで新センターが必要なのか」との意見がある。また、「壱岐病院は駐車場の拡張が急務。建物前は満車が多く、高齢者の通院は大変。他に考えるべきことがあるのでは」と厳しい意見も。

 同センター建設は、12月会議で再び審議する予定。現市有地活用か新規用地購入か、新たなセンター建設は本当に必要なのか、あるいは今議会では審議せず再延期か。注目が集まりそうだ。