2023.11.28健康長寿の島を目指す市民活動
本市は県内21市町で最下位の健康長寿、元気に歩くことを意識して
近年は高齢化に伴い、健康長寿の重要性が問われている。県が公表した資料によれば、健康長寿は男女とも延伸傾向にあるものの、全国的に見て長崎県は全国平均を下回っているという。その県下の中でも本市はさらに県平均を下回り、健康長寿日本一県民会議の総会では、県内21市町のなかで対馬市と並びワースト1位にあるという実に不名誉なランキングとなっている。高齢者が生活する上で最も重要なことは歩けること。さまざまな持病などが起きる中で、足の不自由さほど不便なことはない。健康長寿を伸ばすため、まずは積極的に楽しく歩くことから始めよう。
歩くことで健康を維持するスポーツクラブ設立に向けて
ノルディックウォーキング体験会
来年3月にNPO法人として設立を目指す、(仮称)市総合型地域スポーツクラブ設立準備委員会「KameliaSC(鬼塚裕司委員長)」は19日、湯ノ本湾周辺道路を特設コースとした「第1回第一生命カップ ノルディックウォーキング競技会2023in壱岐島」を開催し、島内外からの参加者39人が深まる秋の壱岐路を歩いた。
ノルディックウォーキングは、両手にポール(杖)を持って自然の中を歩くスポーツで、全身運動ができるため福祉の現場でも導入されている。上級インストラクターの資格を持つ鬼塚委員長は、市の介護予防教室事業「たんがるディックウォーキング倶楽部」を運営している。
今回の競技会は、NPO法人設立を視野に入れた、活動周知とクラブ会員獲得を目的として開かれた。特にノルディックウォーキングは設立時の実施種目の一つであり、昨年10月の体験会でも好評を博していることから、高齢者の健康維持の観点として、市民の意識と注目度の高さが予想される競技だ。
鬼塚委員長は「本市は県内21市町のうち健康長寿は最下位という状況にある。日ごろ、歩かないなど運動不足が理由とされる。少しでも健康となり、県内最下位という不名誉から挽回するため、積極的に運動を取り入れたい。ノルディックウォーキングは足だけではなくポールを持つ両手も使うため、全身運動にもつながる」と話す。
明るく笑顔で、自由に
ノルディックウォーキングに特別なルールはない。自身の身体に合わせたポールを手に持ち、歩きやすい運動靴と運動しやすい服装であれば誰でも気軽に始めることができる。同競技では、出場者が歩く速度を競うのではなく、1チーム3人で、事前に申告した宣言タイムを意識しながらゴールを目指す。順位は宣言タイムとの差が短いほど好成績となるという、同競技独自のオリジナルルールを設けた。
コースは湯ノ本特設エリア(鯨伏小グラウンド)をスタートに湯ノ本湾周辺道路を巡るエキスパートクラス約8㌔、スタンダードクラス約4㌔の2コースから選んで歩いた。わずかな上り坂による体への負荷と、程よい風が吹く湾岸沿いの道など、参加者は風景を愛でながら約2時間のウォークを楽しみゴールした。
優勝は、吉永智佐子さん(70)、岩井文男さん(74)、澤成ミツヨさん(75)のチームあしがる。チーム各自で決めた宣言タイムからわずか2秒差の好タイムでゴールした。吉永さんは「昨日、寒い中での試歩で足運びのタイミングやペースを確認してきた甲斐があった。まさか優勝するとは思わなかったのでうれしかった」と喜びを語った。
JNWA日本ノルディックウォーキング協会マスタートレーナーで本競技の審判長を務めた畑顕治さんは「自然に囲まれたコースで、肩の力を抜いたウォークだった。笑顔で楽しむことが最も重要であることを実践していた。これからは県下一の健康長寿の島となるよう、前向きに健やかに過ごしてもらしたい」と総評し、参加者全員でハイタッチをして当日の全スケジュールを終えた。
同会は来年1月28日に郷ノ浦町の大谷公園体育館で「ショウンマルカップ ボッチャ競技会in壱岐島」、同年2月18日に大谷公園屋根付きゲートボール場で「梅坂ふろしきカップ モルック競技会in壱岐島」の開催を予定している。
健康寿命を伸ばすため、積極的に歩こう
県民の総合健康計画「健康ながさき21(第2次)」の推進会議で示された、2013年度から23年度までの10年間の最終評価では、健康寿命は男性が69・14歳から72・29歳に、女性が73・05歳から75・42歳に延伸した。県は健康づくりを目的とした活動に主体的な人が増えたことを理由としている。一方で本市は、冒頭に示した通り、県内21市町のなかで、健康長寿最下位という厳しい現実が示されている。
本市の場合、移動に車を使用する割合が高く、積極的に歩く機会が少ないと聞く。同競技中、鬼塚委員長は「健康長寿の県内最下位を脱したい。健康でいられるよう楽しく、笑顔で、元気に歩いてもらいたい」と繰り返した。
歩くことは日常生活の基本。来年、同会のNPO法人設立とともに、本市のノルディックウォーキング人口は増えるものと予想される。積極的に歩くことを意識しながら日々を過ごしてもらいたい。