2024.9.10へき地保育所閉所に関する条例改正案に住民呆然

 市は、5日から始まった市議会定例会9月会議で、市へき地保育所に関する条例の一部改正の議案を上程した。提案理由には「来年3月31日をもって、市立柳田保育所、志原保育所を閉所するための改正を行う」とある。郷ノ浦町へき地保育所閉所の問題は、現在も地域住民や保護者が市に対し、地域への説明不足や閉所後の園児転入先の不確定さ、市民に寄り添った方針ではないなどの指摘が上がり、折り合いがつかないまま現在に至っている。

 

住民の理解得ぬまま強行

 

 市議会9月会議の議案上程で市は突如、閉所の条例改正に向けた動きを見せた。議案を見た地域住民は「市はこれまでに説明会すら行ってこなかった。住民や保護者が納得しないまま、強硬に閉所しようとしている。このような暴挙が許されるわけはない」と憤りを見せた。

 郷ノ浦町へき地保育所閉所に向けた動きは、市と地域住民、保護者との間で亀裂を生んでいる。郷ノ浦町へき地保育所5園のうち、渡良、初山、沼津保育所3園は昨年度末で閉所となった。柳田、志原保育所もすでに新規入園児募集は打ち切っている。

 閉所の動きは当初、市が郷ノ浦町に認定こども園を開所することを理由に掲げていた。昨年3月、子ども園施設の建設と運営を担うはずだった事業者が「一部の市民や市民団体、市議、報道関係から誹謗中傷を受け、事業を継続することが困難になった」などを理由に撤退した。

 市民からの情報によれば、市議会で子ども園建設に賛成を示していた一部の市議は現在も「建設反対派のせいで計画が頓挫した。もう、島外事業者は本市には来ない」などと触れ回っているという。

 当時、市民団体や一部の市民は「子ども園ができることを反対しているのではない。計画で示された建設予定地は、土砂災害や交通事故の危険がある場所。もっと安全な場所で再検討を」と要望していた。市民団体の代表は代替案として、安全な別の候補地を提案したが、事業者は議論のテーブルに座ることはなかった。

 こども園建設が中止になり、当初の市の説明に沿えば柳田、志原保育所は存続するはずだった。ところが昨年8月、市子ども子育て会議から白川博一前市長に対し提出したとされる「閉所に関する答申」をもとに現在、市は閉所に向けた動きを進めている。

 来年3月末で閉所の方針を突きつけられた地域住民と保護者らは、市の方針に反発。先月6日と20日、篠原一生市長が同席のもと市いきいろ子ども未来課と意見を交わし、保護者は「私たちの負担も考えてもらいたい。一時存続はできないか」と要望し、地域住民は「柳田地区は市内でも利便性が高い。保育所としての需要はある」など意見した。対して市は「閉所に向けた方針に変わりはない」とし、双方の話し合いは決裂したままになっている。

 このような中、突如、市議会で閉所に関する条例改正が上程され、地域住民や保護者は「市長や市は、市民の声に耳を傾けようともしない。到底納得するわけにはいかない」と困惑している。

 今市議会では、閉所に関する条例改正の審議が始まる。一部の地域住民や保護者は、「一向に方針の再検討をしない市や篠原市長に残念な思い。これが今の市政を表している」と落胆、「市議の判断に期待するしかない」としている。