2025.4.01「感動をありがとう」初の甲子園出場

選手も島内も一体になった日。アルプス席は島民ゆかり約3千人が大声援

 

 春の第97回センバツ甲子園に「21世紀枠」で出場した壱岐高は20日、1回戦で兵庫県の東洋大姫路高と対戦し、2対7で敗れた。1回表、ツーアウト二塁、三塁で5番打者の山口廉斗選手が、今大会注目の東洋大姫路高のエース阪下漣投手から2点タイムリーヒットを打って先制点をあげ、4回までリードし続けた。5回に東洋大姫路高の強力打線につかまり逆転を許すも、満員に埋まった壱岐高応援のアルプススタンドは大声援に包まれた。優勝候補相手に一歩も引かない熱戦を繰り広げた姿は、全国の高校野球ファンの注目を集めた。

 「壱岐から甲子園」。春と夏を通じて甲子園出場の経験がない壱岐高は、夢を現実にする目標を掲げ挑み続けた。壱岐高3年の中心選手は中学時代の軟式野球部出身で、郷ノ浦中は九州大会で優勝したことがある。勝本中は全国大会にも出場している。2年生は、離島の中学生が覇を争う「離島甲子園」で優勝した世代でもある。この選手層を市民は「壱岐高野球部の黄金時代」と呼んだ。

 選手21人とマネージャー4人は全員本島出身。甲子園出場校は各地から有力選手をスカウトするなどチームの強化を図っている中、壱岐高は島内出身者だけで遥かなる甲子園を目指してきた、他校とは違う異例のチーム編成だ。

強豪の東洋大姫路と互角の戦い

 センバツ高校野球の大会3日目の第3試合、壱岐高と東洋大姫路高が2回戦への切符を目指し戦った。

 一塁側のアルプス席は、初めて甲子園の大舞台に出場した壱岐高選手を応援しようと2800席が観客で埋まった。内外野席もほぼ満席。地元開催の勢いも加わり、東洋大姫路側のアルプス席も満席だった。この時の試合は、甲子園が全席指定となった2021年以降で初めて入場券が完売するほど観客が詰めかけた。

 東洋大姫路高の先発、阪下投手は初回、コントロールが立ち上がりから定まらず、2つのフォアボールを出したあと、壱岐高5番打者の山口選手が2点タイムリーヒットを放ち先制点を得た。2回以降、東洋大姫路高は木下鷹大投手に代わり、9回までの8イニングを無失点、9奪三振と好投を見せた。その後、壱岐高は木下投手にヒット2本に抑えられ、追加点を奪うことができなかった。

 東洋大姫路高は4回に1点を返した後、続く5回に打者3人が連続でタイムリーを打ち、一挙5点を奪い逆転を許した。壱岐高は日髙陵真投手に代わり、7回に1点を奪われるも、8回、9回と東洋大姫路打線を抑えた。試合は7対2で敗れたが、優勝候補の一頭と言われる東洋大姫路高と互角に戦った選手に、応援席からは惜しみない拍手が贈られた。

「再び甲子園に戻ってくる」気持ちは夏の大会に

 試合後、浦上投手は「自分のピッチングのせいで負けたと言ってもおかしくない試合。5回に連続で打たれた時もアルプス席の声援は聞こえていた。後押ししてくれていると考えたし、自分もがんばろうと思って投げたけれど、期待に応えられなくて申し訳ないなという気持ちが強かった。次は勝てるように鍛え、夏は自力で出場したい。強くなって甲子園に帰ってきます」と語った。

 坂本監督は「自分たちのチャンスを作りながらも自滅してしまった部分があり、もっと戦えるチームを作らないといけないなと感じた。ヒット3本では勝てないと思うし、攻撃力はどうにかしたいなと思う。観客からの声援は選手たちの強い力になった。相手もレベルが高いチームなので消極的にはならないようにとグラウンドに送り出した。バッティングはもっと強化したい。夏に向けて一からがんばりたい」と語った。