2025.2.04「壱岐から甲子園へ」夢を実現

壱岐高野球部、春のセンバツ甲子園21世紀枠選考で出場決定!歓喜に沸く島内

 

 第97回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)の出場32校を決める選考委員会が24日開かれ、「21世紀枠」の出場校に壱岐高が選ばれ、島内は歓喜に沸いた。県勢の21世紀枠での出場は初めて。同校は春夏通じて初の甲子園出場で、選考理由には、玄界灘の離島にあり、対外試合の負担が大きいなどの厳しい環境の中、昨年秋の九州地区大会で8強入りしたことなどが評価された。3月7日に組み合わせ抽選会があり、同月18日に阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開幕する。

 3月18日に甲子園球場で開かれる出場校32校の発表が24日にあった。困難な状況を克服し、去年秋の地区大会などで好成績を残したチームなどが対象となる「21世紀枠」で壱岐高が選ばれた。選手らは「壱岐から甲子園に」を合言葉に日々の練習に励み、ついに甲子園出場の吉報を手にした。

 同高内のコモンホールで結果を待つ選手らは、緊張した表情でオンラインによる選考委員会の様子を見つめ、出場が決まると大きな歓声を上げて、抱き合いながら喜びを分かち合った。吉報を耳にした市民や島外出身者は、「100年に一度の奇跡」の快挙をたたえあった。

 野球部は76年に創部。現在の部員は2年生が14人、1年生が11人の計25人(マネジャー4人を含む)で全員が本市出身。2年生は、島内の中学の軟式野球部で全国大会や九州大会に出場した経験を持つ。中学卒業時には、強豪チームを持つ島外の高校から勧誘を受けた選手もいた。しかし、「壱校から甲子園を目指す」と共通の目標を持ち、壱岐高に進学した。

 ただ、島外の強豪校とは違い、壱岐高の練習設備は厳しく、平日の練習は2時間のみ。グラウンドはサッカー部、陸上競技部と共用で、本塁から左翼の長さは公式戦の球場よりはるかに短い約60㍍しかないなど、さまざまな制限がある中で力をつけた。

 練習試合も、大きなハンデを背負いながら努力を重ねた。島外の遠征では離島のためにフェリーとバス移動で多額に費用がかかり、移動時間による体力的な負担もあった。島外の強豪チームと比較して明らかに厳しい環境だったが、地道な練習と島の絆でチームの結束と気持ちの強さを生んだ。

 甲子園までの道のりは決して楽ではなかった。昨年秋の県大会の準々決勝では、同年夏の甲子園に出場した創成館を完封して勝利。準決勝では2021年春の甲子園に出場した大崎に零封で勝利、決勝戦では海星に敗れ準優勝、この結果から初の九州地区大会出場を決めた。九州地区大会では、1回戦で熊本1位の専大熊本に打ち勝ち8強入りするも、沖縄県のエナジックスポーツに7回コールドの大敗を喫した。しかし、21世紀枠の選考では、県、九州大会の実績などを高く評価された。

 今後は3月7日に対戦相手が決まる選抜抽選会、同月18日に開会式と開幕試合があり、13日間の戦いが始まる。